卒業前

バブみ道日丿宮組

お題:3月の百合 制限時間:15分


卒業前

「もう卒業してしまうんですね」

「留年してほしいの?」

「できるならそうして欲しいっていうのはないってことはないです」

「そう。でも、付属校だから、会えないってことはないのよ」

「でも、今みたいにご飯を食べることはできなそうですよね」

「そうね。授業時間が異なるし、なによりも場所が違うわ。第1食堂と、第2食堂であったのが、第3食堂に移るわね」

「だったら、私がそっちにいけばいいんでしょうか」

「午後の休憩時間がなくなってしまうわ」

「でも……」

「あなたのわがままもわかるわ。でも、1年我慢すれば、また一緒に過ごすことができるわ」

「わかってます、わかってますが……」

「大丈夫。離れてても心は1つよ」

「本当にそうですかね。だって、他校からもお嬢様がたくさん入るじゃないですか。そこに魅力のある生徒がいたら、あたしなんて大した魅力なんて残らないですよ。家柄もただの家ですし」

「そうじゃないわ。あなたは十分に魅力よ。私の父の仕事を任せたいくらいにね」

「ただの庶民にそんなことができるでしょうか」

「この学校に入れた時点であなたは特別なの。みんなお嬢様の中、あなたは学力、運動能力で枠を掴みとった。とても素晴らしいことだわ」

「……そうですかね。たまたま勉強ができて、運動もそれなりにできたからじゃないですかね」

「悲観的になってもしかたないわ。もう2年。2年もあなたはこの学校で過ごすことができた。それが結果よ」

「最初の頃はお嬢様作法とかよくわからなかったですけどね」

「それはそうね。普通の学校では習わないことが授業に組み込まれてるのだから」

「そういうのが特別っていうのでしょうか」

「特別かもしれないわね。だから、あなたとの出会いもきっと特別なのよ」

「そうだと嬉しいです」

「ほら、食べましょう。数少ない私達の時間を過ごしましょう」

「はい、お姉さま」

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卒業前 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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