夜のこと
バブみ道日丿宮組
お題:頭の中の深夜 制限時間:15分
夜のこと
身体が動かせないことを金縛りというらしいが、僕の場合はちょっと違う。
「……」
深夜目が覚めると、いつものように身体が動かせない。
いわゆる睡眠薬の影響でこうなってる……らしい。らしいっていうのは先生に相談した結果、そうなってると聞いたからだ。眠ってるようなものと、眠れてはなくはないと。
睡眠薬は既に限界ぎりぎりとなっており、これ以上どうすることもできないらしい。返ってより一層事態を悪化させかねないだという。
だからこそ、深夜の天上は見慣れてる。ぼんやりと豆電球が彩ってる。ほかは暗くてあまりよく見えてこない。
ーー知らない天上だ。
そんなセリフが言えてしまうと、自分は病んでるのだとどこか証明してしまいそうで怖い。
実際病んでることは間違いないだろうが。
社会に溶け込めず、また家に居場所がない。
一人暮らしをはじめても、まともに生活ができてない。
生活保護を受けてるから生きてられてるとはいえ、本当に生きてるのか怪しいところだ。
「……」
もっとまともな生き方ができたらよかったのに。
二十歳にもなって、自分のことが何一つできないのは恥ずかしくもあるが、諦めもある。
知らないことは知らないし、できないことはできない。
それは恥ずべきことじゃない。自分という個性を理解してるともいえる。ただ……できたらいいよね。願うことは愚かじゃないはず。
なんにしてもこうやって毎日目が覚めてしまうのはとても辛い。眠ってるはずなのに眠れてないというジレンマが激しく身体を痛めつける。
その証拠に朝になるととてつもなく身体が疲れてしまってる。外に出る気力さえも奪ってしまうそれは連鎖して、1日、3日、5日、7日、30日、60日、120日、365日と続いてく。
本当に僕は生きてるのだろうかと疑いたくもなる。
けれど、どうすることもできない。
眠るのは身体で、脳ではない。その関係を変えられるようにするには、意識を変えるしかない。眠れないじゃなく、眠れると自分を信じて目をつむるしかないのだ。
そうして、4,5時頃を迎えると、意識は急に沈む。
ようやく意識が眠ることを許可される。
けれど、3,4時間ほどで目覚めてしまう。もっと意識を休ませたいのに、現実が僕を締め付ける。違うことがあるとすれば、重たい身体を動かせるということだろうか。
「……」
とはいっても、トイレ、朝食を取り、薬を飲めば、またベッドの上だ。
この連鎖を止められる日はいつかくるのだろうか。
なにかいいことを得ることができるのだろうか。
誰も教えてくれない。
夜のこと バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます