言葉

バブみ道日丿宮組

お題:神の天才 制限時間:15分


言葉

 まるで神のような子だと、彼女は言われてた。

 それは姉から産まれたということが大いに関係してる。

 姉。実妹だ。

 同じ父親の遺伝子を持つ子供。

 それが何重にも重なって誕生したのだ。

 どれくらい近親交配を繰り返したのかは知らないし、知りたくもないが結果としてサラブレッドは産まれた。

 彼女が産まれるまでに多くの赤ん坊が死んだと聞いた。

 そんな中、彼女は今元気に家事をこなしてる。

 とてもじゃないが一族を滅ぼした人には見えない。それもたった一人のためにだなんてね……。

「……」

 彼女は家族を皆殺しにした。一族も全て滅ぼした。

 疑心暗鬼によっての裏切りや毒殺。いろいろな手段を用いて、彼女は一人ずつ数を減らしてった。それは子供であっても老人であっても容赦はしなかった。

 皆殺しに問題が生まれることはなかった。

 神の子と呼ばれてることもあって、誰しもが彼女の言葉を信じた。

 結果的にそれは破滅をもたらしたのだが、実際に彼女がやったことは普通じゃない。

 卵を持っただけで性別を言い当てたり、血液型や誕生日を当てたりと、家に軟禁された状態で知る由もない情報を彼女は持ってた。

 それは推測であったり、噂ごとであったり、雑談であったりかもしれない。

 1つずつは未確定なものであっても束になれば密を増す。

 そうして彼女は確定情報だけを集め続け、様々な予言めいた忠告までするようになった。

 そんな彼女は僕の妹だ。

 入籍はできなかったが、妻として彼女は行動してる。

 彼女の力があれば、いずれおそらく結婚できる未来が訪れるだろう。

 僕と一緒になるために彼女は家族を殺した。

「どうしたの、兄さん」

「なんでもない」

 これで良かったのだ。

 彼女はあそこにいても幸せになれない。僕と一緒にいられない。

 そんな世界はあってはいけない。訪れてはならない。

 僕が僕であるためにも……。

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言葉 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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