第7話 ドニーク家へ
「ウフフ、やっと来たぁ。コルザ様ぁ~!」
「……ナルシア嬢、本日は…お招き感謝します……」
グランディア家でのお茶会から六日。
分厚い雲がどんよりと空を覆う雪模様の昼下がり、約束通りペティアと共にドニーク家を訪れたコルザは、玄関先から永遠ナルシアの猛アピールを受けていた。
今日も今日とて派手に着飾ったナルシアは、空模様よりもどんよりした気分の二人なんてお構いなしに、ぐいぐいと自ら過信してやまない可愛さを全面に押し出してしている。
「そう言えばぁ、この間は怒ってゴメンね。あれはぁ、私たちの関係がばれないよう、守ってくれたんだよね? コルザ様の優しさに気付けないなんて、ドジな私っ」
「え」
「だから今日はぁ、あの日できなかった分、たぁくさんお話ししようね♪」
そう言って、ナルシアは先日のお茶会でのやり取りを思い返しながら笑みを見せた。
そんなつもりは微塵もないのだが、どうやら彼女の中ではすでに二人の婚約が確定していて、それを隠すためにコルザがあえて冷たい態度を取った、と言う解釈になっているようだ。
「……」
とんでもなく逞しいナルシアの妄想力に、コルザは苦い表情をして顔を引きつらせていたが、彼女は気付くことなく嬉々として話を進めた。
だが、次の瞬間彼が連れている侍女に気付くと、可愛い子ぶるのをやめ、
「お前はこの間の使用人! 何しに来たの? コルザ様はこれからあたしと二人っきりでお茶するんだから、邪魔者は消えて」
「……!」
彼の後ろに控える侍女に気付いた途端、吐き捨てるように言うナルシアの口調に、ペティアは侍女である以上反論するわけにいかないと思いつつ内心苛立ちを募らせていた。
コルザに話しかけるときとは雲泥の差がある口ぶりが本当に腹立たしい。
「あー、もちろん、そのつもりなのでご安心を。彼女にはうちからの手土産を持たせただけ。部屋にこのバスケットを置いたら馬車に帰しますから」
立場をわきまえて何も言えずにいるペティアに、コルザは申し訳なさを募らせると、あからさま表情を歪めるナルシアの敵意を逆なでしないよう、できるだけやんわり彼女を庇った。本当は全力で侍女をフォローしたいところだが、これ以上話がこじれるのは面倒だ。
すると彼の言葉にナルシアは一転して嬉しそうに頷くと、るんるん気分で屋敷一階の中ほどにある談話室に彼を招き入れた。
部屋の中には紅茶やお菓子が用意されているものの、使用人は一人もいない。
ナルシアは本当にコルザと二人だけで過ごすつもりのようだ。
「ではコルザ様、私はこれで一度失礼いたします。後ほどお迎えに上がりますね」
「うん、あとでね……」
バスケットをテーブルに置きながら、周囲の様子を観察したペティアは、予定通り傍を離れるため、そう言ってコルザに声をかけた。ペティアの声に頷くコルザは、まだ調査すら始まっていないのに、早くもナルシアの猛攻撃に押し負けそうな様子だ。
(……ごめんなさい、コルザ。本当に……)
そんな彼の姿に、ペティアは心苦しさを覚えながら一礼すると部屋の扉に手を掛けた。本当はこんなところにコルザを一人置いて行きたくはなかったが、我慢である。
(……仮にも来客中だと言うのに、本当にメイドひとり近くにいないわね……。予定ではあとあと怪しまれないために一度外に出るつもりだったけれど、これなら……)
談話室を出て、誰もいない廊下に立ってみると、家人がほとんど出払った屋敷は閑散とし、辺りの気配は皆無だった。コルザと二人きりになるために、使用人すら近くに置こうとしないナルシアには腹が立つが、調査を始めるには願ってもない状況だ。
(さて、まずは伯爵の書斎を探しましょう。二階…三階かしら?)
ナルシアへの苛立ちを何とか押し込め、上階にあるであろう書斎を視野に入れたペティアは、周囲に注意を配りながら、誰もいない階段を上り始めた。
お喋りなナルシアの話では家人は夜まで帰ってこないと言うことだったから、今から書斎を漁れば日が傾き始める前にはこの屋敷を去れるだろう。今まさに部屋の中で彼女の猛攻撃に堪えているコルザのためにもできるだけ早く、白黒をはっきりつけたい。
(コルザ……できるだけ早く傍に行くから。もう少しだけ堪えていてね……)
(――ようやく見つけた。ここが、ドニーク伯爵の書斎ね……)
ペティアが伯爵の書斎を見つけたのは、それから一時間程経過した頃だった。
屋敷の三階にある当主の書斎は、まるで人目を憚るように作られ、入口は書庫の奥の隠し扉の中という非常に複雑なものだった。
内部に詳しくないことを差し引いても、見つけるまで予想以上の時間を要してしまったことに、ペティアは微かな焦りを浮かべたまま、そっと隠し扉を閉じて書斎に足を踏み入れた。
分厚いカーテンで閉め切られたそこは雪模様の空と相まって薄暗く、どこか不気味な印象だ。
その薄暗さに何を感じたのか、ペティアは一瞬身を震わせると、ゆっくり部屋を見回した。
(このお部屋、一見綺麗に見えるけれど、ところどころに書類が散らばっているし、掃除もさせていないのか、奥に分厚い埃も見える。でも、それ以外は特別何も…普通よね……)
初めこそ緊張と薄暗さに不安げな表情を見せていたペティアだったが、目を凝らして見つめる部屋の中は、一般的な書斎とあまり変わらないように見えた。
それに、ドニーク伯爵と言えば高飛車な娘と違い、温厚な人物として知られていた。闇との関わりの有無もそうだが、そんな人がなぜ、こんな隠し部屋に書斎を設けているのだろうか?
(……とにかく、この書斎にあるものすべてを徹底的に調べてみましょう。何が出てくるかは分からないけれど、考えるのは後回しよ)
頭をよぎるいくつかの疑問。それらを一旦心の底に沈めることにしたペティアは、薄暗さに目が慣れてきたことを確認すると、早速書斎を見て回った。
「――それでねぇ、この間のお城でのパーティのときは~……」
「うん……」
ペティアが周囲の気配を気にしながら伯爵の書斎を徹底的に調査し始めた頃。
ナルシアを引きつけておくエサであるコルザは、相変わらず彼女の一方的な話を聞かされ続けていた。のんびりとお菓子や紅茶を頂く彼の表情は、どうにかいつも通りの穏やかさを保ったままだが、返事は明らかにやっつけになり始めている。
「その前のときは~、お父様が~。あら?」
「どうしました?」
自身の自慢話から同世代のお嬢様の悪口まで、自分以外のすべての女子を見下したような発言を繰り返していたナルシアが、不意に立ち上がって話を中断する。
突然の行動に、彼女のことを心底何とも思ってないとはいえ、さすがに辟易していたコルザがホッとしつつ尋ねると、ナルシアは窓の外を見遣りながら、不思議そうに教えてくれた。
「お父様の従者が戻って来たみたい~。変ねぇ、忘れ物?」
「えっ…!」
「大丈夫よぉ、ここには来ないからっ」
(……ドニーク伯爵の従者が戻って来た…? ど、どうしよう、もしペティアが書斎とかを調査中で、万が一、鉢合わせでもしたら……。でも、俺がでしゃばるわけには……)
些末な出来事を話すように言うナルシアの思わぬ言葉に、コルザは紅茶を頂きながら内心、焦りを隠せないでいた。ナルシアのせいで死滅しかけていた脳細胞をフル活動させ、何かペティアに危険を知らせる術はないかと思うも、何も思い浮かばない。
そもそもコルザは、彼女が今屋敷のどこにいるかさえ知らないのだ。そんな自分が、どうやってペティアを助けられる?
「コルザ様ぁ? どーしたの、ぼーっとしちゃって?」
「あ、いや…何でも。それより、話を続けましょう」
助けてあげたいのに、ここでじっとしている以外に何もできない。
もどかしさと心配と微かな不安を抱きながら、コルザは品のない笑顔で自分を見つめるナルシアをほんの少し視界に入れつつ、ただただペティアの無事を祈った。
(今の俺には何もできないけれど、無事でいて、ペティア……)
同じころ、伯爵の書斎の調査を進めていたペティアは軽いショックに見舞われていた。
隠し部屋に設けられた書斎、それだけで怪しさ満点の場所だったのに、結局、今のところ証拠になりそうなものは何一つ出てこなかった。
本に書類にインクなどの物が雑多に置かれた書物机や、その引き出しの中、やたらある本棚にカーペットの下、果てはソファの隙間まで、物が隠せそうなあらゆるところを探して回ったが、ペティアが求める闇の大物とのつながりを示す物は一切見つからない。
辛い現実にペティアは肩を落とすと、暗い表情で薄闇に沈む書斎を睨みつけた。
(これだけ全部探しても、なにも見つからない……。やっぱり伯爵は白なのかしら……? でも、じゃあなんで、こんなところに書斎があると言うの? ん……?)
そのとき、不意に感じたのは冷たい風、だった。
すべてのカーテンが閉め切られ、どれも揺らいですらいないというのに、足元に風を感じる。
その不思議な感覚に、それまで本棚の傍で思案に耽っていたペティアは顔を上げると、微かな違和感の正体を探るため、しゃがみ込んだ。
その間もずっと、風が心地よいとは言えない冷たさで、足元に吹き付けている。
(……! よく見たらこの本棚…ほとんど埃が積もってないわね。他の本棚は雑多に置かれた本にうっすら埃が積もるくらいには放置された形跡があったのに。それに、下のカーペットにも何かを引きずったみたいな線が……)
と、また冷たい風が吹いた。どうやらこの風も本棚のあたりから吹いているようだ。
(もしかして、これも隠し扉……? だとしたら、この中に何かが……)
新たな可能性に、ペティアはゆっくり立ち上がると、細い指を本棚に滑らせた。棚に入っている本や飾りの置物、仕切り板など、その本棚のすべてを入念に見て回る。
すると、しばらくして彼女の手がひとつの本で止まった。
(これ、本に見えるけれど、引き抜くこともできないし、なにかしら……)
そう思ってその本に見える何かを右から左へ押してみた、そのとき。
微かに何かが外れる音がして、本棚がゆっくり左へとスライドしていった。そして、その隙間に現れたもの。それは……。
(……!)
本棚の奥にあったのは三畳ほどの小さな部屋だった。
明り取り用の窓が上部にあるだけのその部屋には、書棚に入りきらないほどたくさんの紙束が置かれ、資料の保管庫として利用されていることが伺える。
(隠し部屋の書斎の中に、また隠し部屋……? もしかして、これが……)
頭をよぎる微かな期待。確証を得たわけではないが、まさかと言う期待が膨らんでいく。
逸る気持ちを抑えつつ、ゆっくりと隠し扉を閉めたペティアは、辺りの気配に耳を澄ませながら書棚にしまわれていた書類を取り上げた。
そして、窓から入る薄い光で手元を照らし、内容を読んでいく。
(……っ!)
すると、次の瞬間、ペティアの顔が驚きに変わった。
それはまさに、ペティアが五年間探し続けていた証拠の一部だった。
(……本当に、ドニーク伯爵が密告者だったのね……。この人が私の家族を……)
証拠を見つけたことで頭を過るのは、闇のしっぽを掴んだ嬉しさと、怒りだった。
私たち家族はこの人たちに散々傷つけられたというのに、彼らは今も国の中枢で、平和にのうのうと生きている。そして、飽くことなき欲望で、闇との繋がりを深め続けている。
(必ず、彼らをこの国から追い出してみせる。お父様の意思は必ず私が……!)
募る負の感情を抑えるようにスカートをぎゅっと握りしめたペティアは、闇との繋がり、そして黒幕である大物貴族との交流の証拠が刻まれた小部屋の資料たちを睨みつけた。
そして、最も証拠になるであろう書類を探そうと、さらに一歩を踏み出した、そのときだった。
(物音? もしかして、誰か、ここに来る…?)
聞こえてきたのは扉を開ける微かな音と、誰かの足音。
家人が帰って来るにはまだ随分と早い。なら、一体誰が…?
嫌な予感と募る不安に、ペティアは息を呑むと、本棚の隠し扉越しに全神経を集中させて書斎の気配を窺った。どきどきと心臓が否応なしに高鳴るのを抑え、息を押し殺したままじっと耳を澄ます。と、その誰かは彼女の予想通りゆっくりと書斎に入って来た。
規則正しいコツコツと言う足音が、この張りつめた空気の中で嫌に大きく聞こえる。
(足音…ドニーク伯爵は確か、病気がちな体を労わるために今は車椅子を使っていたはずよね。ラスター? それとも、伯爵の裏を知る使用人の誰かかしら……?)
隠し扉に左耳を押し付け、冷静さを失うまいとポーカーフェイスを保ったまま、考えをめぐらす。今のところ、こちらに向かってくる気配はないが、いつ、隠し扉を開いて、中にいる自分に気付くとも限らないし、このまま長時間書斎にいられるのも厄介だ。
どきどきと激しくなる鼓動と刻々と増していく不安に、精神的な負担を感じながらも祈るようにじっとしていると、やがて引き出しが開くような小さな音がして、その誰かが何かを探している気配が伝わって来た。音と微かな気配だけでは、それ以上何をしているのか見当もつかないが、それでもどうか、こちらにだけは気付かないで……!
「……旦那様に頼まれたものはこれで全部だな。急いで戻らねば。会合が始まってしまう」
「……!」
「だが、何か…違和のようなものを感じる。……気のせいか……?」
おそらく、今隠し扉の向こうにいるのは伯爵の従者だ。
彼が言った伯爵と誰かの会合に必要な何かを、わざわざ取りに来たのだろう。
引き出しが閉まるような音と共に聞こえてきた低い声に、漠然と状況を把握しながら息を殺していたペティアは次の瞬間、そう言って不穏な気配を出す従者の言葉にびくりと肩を震わせた。この書斎に侵入してから、ペティアは様々なものに触れ、証拠を探し回ったが、位置も角度も完璧に元に戻してきたし、埃の溜まっているところに跡を残さないよう、慎重に動いて回った。
そう簡単に気付かれるような探り方はしていないつもりだが、自分が今ここにいる事実も含め、何か感じるものがあるのかもしれない。
(……)
冷え切った隠し扉に耳と片手を当てたまま、ペティアは必死に気配を押し殺した。
ここを何としても乗り切らなければ、今までの苦労が無駄になる。それに、ここで自分が見つかれば、協力してくれたコルザにまで迷惑がかかってしまう。
それだけは絶対に、回避しなくては。
恐怖と不安、そして真冬の凍てつくような寒さのせいか、祈るように俯くペティアの顔は、随分と青白いように見えた。それでも震える体を隠してじっとしていると、やがて従者は探るような気配を打ち消し、来たときと同様足早に部屋を出て行った。
(行ったの、かしら……?)
書庫へ続く隠し扉の閉まる音と、彼の足音が消えていく気配を感じながら、じっと石像のように固まっていたペティアが極限の緊張状態を解いたのは、それからしばらくのことだった。
もしこれが自分に気付いて、カマをかけるための演技だとしたら、そんな勘繰りの末、ようやく従者がいなくなったことを認めた彼女は、足の力を失くしたように床にへたり込んだ。
そして、恐怖と寒さを抑え込むように両腕で自分を抱きしめ、ゆっくりと息を吐く。
(怖かった……本当に。伯爵が密告者だと知ったせいもあるけれど、あの日、コルザに見つかったときとは比べ物にならないくらい、怖かった……)
知らず震える体を抱いたまま、ペティアは心の中で素直に恐怖を呟いた。
もちろんペティアとて、こういった不測の事態を想定していなかったわけではない。
今までも幾度となく危ない局面を乗り切って来たのだ。今回だって、多少のアクシデントは覚悟の上だった。
それでも、ここまで危機感を覚えたのはペティアにとって初めての経験だった。
早く資料を集めてこの場を去らなければと分かっているのに、体が言うことを聞いてくれない。
そのもどかしさに彼女はしばらく瞳を閉じて耐えていたが、やがて気力を振り絞るように立ち上がると、めぼしい資料を持参したニセの紙切れと交換し、証拠を集め始めた。
「――コルザ様、お迎えに上がりました。そろそろお時間でございます」
証拠資料を集め終え、伯爵の書斎を脱出したペティアが再びコルザと顔を合わせたのは、ドニーク家の門をたたいて三時間半近くが経った頃のことだった。
家人にも使用人にも不信感を持たれないよう、わざわざ一階の窓から外へ飛び出し、屋敷を回って再び玄関に立ったペティアは、ベルに気付いて扉を開けてくれた従僕に談話室まで連れてきてもらっていた。
伯爵の従者が戻ってくると言うアクシデントに見舞われたせいか、彼女の表情は普段以上に硬く、どこか張りつめているように見える。だが、それでも気丈に振る舞った彼女は、部屋に入ると、いまだナルシアの自慢話を聞かされているコルザに声をかけた。
状況は部屋を出る前から一ミリも変わっていないように感じるが、やはり自慢と陰口の応酬を聞かされ続けていたコルザも疲れているように見える。
「ティア。もうそんな時間か」
「はい、ご支度いただけますか?」
だが、三時間以上もナルシアなんかの相手をさせられたというのに、彼女の声に振り返ったコルザはいつもと変わらない笑顔で戻ってきた侍女を迎えてくれた。
きっと本当はすごく疲れているはずなのに、それでも普段通りを装うコルザに、ペティアは心苦しさでいっぱいになる胸を抑えながら自らの役に徹した。ペティアのために、そう言って堪えてくれたコルザに謝罪も感謝も伝えるのは今じゃないと自分に言い聞かせる。
「え~、コルザ様ぁ、行っちゃうのぉ~?」
その一方で三時間にもわたり、自慢話と陰口を続けていたナルシアは不満そうだ。
自らの定位置だと言うように、掛けてあった外套を手にペティアの傍に戻ったコルザを見上げた彼女は、相も変わらず猫なで声を上げ、可愛い子ぶっている。
そんな姿に、ただでさえ精神的疲労と寒さで、気力も体力も失いかけていたペティアは、さらに疲れた顔でナルシアを見遣った。すると、コルザの方もさすがに辟易していたのか、彼はできるだけいつも通りを装うと、にこやかに言った。
「申し訳ない。この後、別に予定があるもので」
「え~、もっとお話ししたかったのにぃ」
「またいずれ、機会があれば」
三時間以上ノンストップで喋り倒してなお、まだ足りないとかぬかすナルシアに心無い笑顔を向けたコルザは、彼女の言葉をのらりくらりとかわしながら屋敷を後にした。
これでようやく短いようで長いようなドニーク家の訪問が終わると思うと、嬉しくてコルザはほっとした笑みを見せていたが、少し後ろを歩くペティアの表情は変わらず硬かった。
何があったのかは屋敷に帰るまで聞けないが、それでも労わるように彼女に笑いかけたコルザは馬車に乗り込むと、帰途へ着いた。
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