05 学校祭1日目

 トップバッターの緊張に襲われながら迎えたステージ発表。1年1組にしては大成功だった。直前のメイク時間に「最後の曲、全員ステージに上がってみようよ」という意見により、最高の笑顔で発表を終えることができたのだ。


 今はほっと一息つき、メイクを拭き取っている。この間にも発表は進んでいるため、1年2組が何をしているのかは知らない。やっとの気持ちで見れた1年3組は、夢の国のキャラクターを中心とした劇だった。






 ステージ上に10人ほどの人影が映し出された。間もなくポップな音楽が流れ、明転と同時にダンスが始まる。ステージの端っこで、すみれさんが可愛らしいダンスを踊っている。2年1組のクラス発表が始まった。ということは――。


 この時初めて、菫さんのクラスを知った。






 各クラスの発表が終わり、部活の発表、先生方のバンドと続いた。次は大抽選会。豪華景品が当たるようだ。在籍番号で発表されるため、ステージに上がるまでは誰が当たったのか分からない。


 何度か1年1組が呼ばれたが、惜しくも私ではなかった。景品が残り少なくなり、会場全体に緊張が走る。


「2年1組――。」


また逃してしまった。しかし、ステージを見ると菫さんが立っていた。強運の持ち主だったなんて。


 頭の中の私はすぐさま賑やかなパーティー状態になった。私が当たったわけではないのに、こんなに嬉しいのは何故だろう。


 この答えは1年後に出るのだった。

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