04 前夜祭

 私達の学校では、学校祭を2日に分けて行う。その更に前日、前夜祭は何組ものカップルが誕生するらしい、と風の噂で聞いていた。






 SHRが終わり、担任の指示で玄関前に向かう。廊下の窓から見える東の空は、紺青色に染まっていた。外に出ると、屋上から数人の姿が見える。


 青春といえばこの企画、未成年の主張。司会の一声で始まった。先生や友達への感謝を叫ぶ人。片思いの相手への好意を叫ぶ人。カップルが誕生するのはこれかと思ったものの、実った恋は1つも無かった。






 空全体が青く染まり、星が見え始める。パステルカラーの花火が、壮大な夜空のキャンパスに飛び散る。やがて大きな音と共に消える。華やかな様子ももちろん好きだが、儚い様子の方が好きだ。まるでひと夏の青春のようで――。


 そんな景色をどのくらいの時間見ていただろう。ふと我に返り、忘れていた呼吸をようやく取り戻した。

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