第51話

学園に入るにあたっての試験会場に私は来ていた。


「マリアンヌ、試験の方は大丈夫そう?」

「わかんない。だって今から試験を一緒に受ける人たちの実力を知らないもん。」


特にこれといって行ったことは無い。

せいぜい復習くらい。

後は接近戦を想定した実技試験があるらしいけどそれの練習もしなくて良いって言われたしどのくらいの立場に自分がいるかなんてわからないに試験を大丈夫そうと言われても何も言いようがない。


「マリアンヌはきちんと努力してきたから普通に試験は受かるとは思うけどあんまり本気でやっちゃダメよ。」

「どうして?」


試験官は大人の人と聞いたし私はまだ大人に勝てたことがないから全力で行って良いものと考えていた。

でも、お母さんは本気を出してはいけないといったから驚いてしまった。


「試験官の人は大人なのになんで全力で戦っちゃダメなの?」

「マリアンヌの言う大人ってユウゴさんのことでしょう。あの人を普通の大人の基準にしていたら私たちだって勝てないわ。」

「?でもお母さんたちにも負けるよ。」


首を傾げて疑問を掲げるとお母さんは頭を抱えてなんて話せば良いんだろうとぼやいていた。


「ここが学園?」


レンガ造りの某魔法学校を思わせる教会のような学校。

チラホラと火球や水球、剣、カツラなどが飛んでいた。


「ねえ、お母さん、アレは何?」


私はカツラを知らなかったのでそれを指さした。


「アレはね。大人になってから知れば良いものよ。」


「ワシのカツラー!!」


「あの変なのを追いかけているおじちゃんは?」


「見てはいけないわ。アレは夢追って破れたものの末路なの。」


お母さんが教えてくれないからお父さんに聞こうとしたがお父さんは私の視線に気づくとすぐに首を振った。

どうしてそんなに隠すのかは知らないけど危険なものなのかな?


無知とは罪であるが世の中には知らない方が幸せになれることもある。


たかがカツラ如きにそれを感じるかどうかは別として。


「お前が転校生か、王子であるこの私を置いて優秀な成績を出せるはずかないと言うのに田舎に帰るなら今のうちだぞ。」


雑談していたら突然目の前に来て偉そうな態度の男の子がいた。


その目はなんというか明確な意思を持っていない人任せな目だった。


人任せよりも酷い。自分の意思を抑えつえることもせずただただ流されることを望んでいるユートとは正反対の眼。


一言で言うならハナタレ坊主が粋がってるな。

そう言いたくなるほと無関心に近い印象が王子の第一印象だった。


「あなたはどこが偉いの。」

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