第49話

「さてそろそろ本題に入りましょうか。昔話や身の上話はまた今度にして学園についてよ。」

「ええ、他国の留学生アワリティアについてね。」

「他国ってそもそもどこなの?」

「国名、アンドミニスター王国。マリアンヌちゃんはこの王国の国名はわかるかしら?」

「オールナイツ王国でしょう?」


別名騎士の国

そして今回の留学生のいる国は魔道国される国だ。


「我が国の考え方は皆が皆役割があるという考え方である意味で平等、ある意味で差別化されている国柄となっています。」

「そしてアンドミニスター王国の考え方は魔力至上主義の職業主義です。この国は分別化による差別こそ起きていますが努力次第では適性職業以外の職に就くことも許されています。」

「今回の議題はそのアンドミニスター王国の徹底した魔力至上主義の影響を色濃く受けてしまった馬鹿息子の矯正の仕方及び学園としての在り方をどう説いていくかを考えたのちに学園に議題案を提出及び他の婦人方からの署名活動を開始。こんなところかしら、皆もそれでいいかしら?」

「「「もちろん。」」」


マリアンヌは既についていけないことを判断するととりあえずケーキの味に集中することにした。

甘酸っぱい初めて感じる味なのにとても美味しく感じる。

所々甘い風味と辛い味が混ざったクッキーをはさみながらどんどんケーキを食べていく。


「此度の留学生は伯爵家の息子、カリバーン。彼は根っからの選民思想持ちで隠していたようだけど教師としての教育も受けているらしいわ。」

「それじゃあ既に学園の中枢にまで入られている可能性が高いわね。」

「ええ、学園内部にも生徒以外のスパイがいると見て考えていきましょう。仮にスパイがいるとした場合もっとも怪しいのは学園長、学園の創立からいる学園の長だけれども金に目がくらむ要素はいくらでも考えられるし最初からスパイだったは無しにしてもあの学園長は女運が悪いことで有名よ。充分警戒しておいて。」


ほろ苦さの中に香ばしさがあってただ甘いだけじゃない芋を直火で焼いた時のような独特の香ばしさを兼ね合わせた黒いケーキ。

中に入っている名も知らぬ果実は決して喧嘩することのないようなそっとした酸味を出している。

そしてこの紅茶というものはとても美味しい。

砂糖を入れる方の方が多いと聞くはこの香りと紅茶自体の苦み、渋み、甘みは何にも代えられない。

一口口に入れば見たことも無い景色が広がっていく。

青々とした森にかわいらしい動物たち。


「それとカリバーンには洗脳系の魔法を扱えるかどうかも調べられるように誰か一人を教師か何かしらの理由をこぎつけて合法的に送りたいところね。できればルチアに行ってほしいんだけど何かいい案は浮かぶ?」

「マリアンヌには一応私が習ってきたことは全部教えてあるけれど今の学園の学習内容についていける?」


あ~ん、これをユートに食べさせてあげたい。

そうすれば私と結婚するって言ってくれるかな?

あ、それよりあ~んをしてみたいかも!


「あれ?どうしたの?」

「マリアンヌ。学園に行ってみない?」

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