第48話
「アストリア、ルチア、ごめんなさいね仕事が長引いちゃって。」
「私たち丁度終わるのが一緒だったから丁度良かったかもしれないけど少しは話せたかしら?」
ケーキを夢中になって食べていると二人の婦人が優雅な歩き方で来た。
「ええ充分話せたわモルドレッド、モルゴース。それと今ケーキを必死に食べているのが私の娘よ。」
モルドレッドはルチアの紹介と共にケーキをバクバク食べているマリアンヌに目をやる。
「あらあら可愛らしいお嬢さんね。私の息子のお嫁さんに欲しいくらいだけど恋する乙女はお嫁さんには迎えられないわね。ねえ好きな人はだあれ?」
「す、好きな人なんていないもん……です。」
「うふふ、無理に言葉遣いを正さなくてもいいわ。今わね。一応礼儀作法は身に着けてもらうことにはなるけどまあルチアから色々聞いているんでしょうから私は慣れさせることぐらいしか教えることは無さそうだけど。」
まるでこの人の目の前にいると自分のことを丸裸にされそうに思えた。
王国でも珍しい三白眼の瞳は柔らかな瞳の中に鋭い眼光を持ち合わせる草食動物によく似ている。
「モルドレッドの職業は鑑定士だからマリアンヌが身構えてもしょうがないわよ。むしろ疲れるだけだから素直になった方が身のためだと思うけどね。」
「鑑定士?」
「私の職業は初代勇者の側近の一人が成っていたとされる職業なのよ。」
「凄そう。」
モルドレッドは褒められたことが嬉しかったのか目の奥に笑みを浮かべる。
「モルゴースも初代勇者の側近の職業でサバット師で魔力もなかなかのモノなの。」
「サバットって?」
「女性や貴族が使っている護身術の一つなんだけどこの関係の職業の人たちは魔力が高いのが特徴ね。一通りの魔法を使えることも多いし何かと重宝するわよ。」
「ちょっとはしたないけど。」
モルゴースはスカートをたくし上げ目にもとまらぬ速さでゆらゆらと落ちていた落ち葉を足で切り裂いた。
その数は5枚。
「うん、以前に増して強くなっているようで何よりだね。」
「そっちも学園に居た頃より早いの見えてるって開拓村は強いモンスターでも居たの?」
「私はモンスター狩りには参加していないけどマリアンヌと幼馴染のユート君のチャンバラは見ていたくらいなんだけどね。」
「チャンバラって……。」
それを見ているぐらいで今の蹴りの内容を見切れるのかとモルゴースは思っていた。
後からマリアンヌが聞いた話によると5回けっているように見えてその3倍は蹴っていたらしい。
「ユウゴの息子で村長の教え子であるってことかしらね。」
「でもユウゴさんってエリザベス、エリーが亡くなってから育児放棄していたって聞いたけど。」
「今はなんとかやっていけているわよ。けど親とは言えないかもしれないけどね。」
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