第46話
「間違いなく滅ぶでしょうな。」
「ええ、決して世に出してはいけない秘密ゆえに子供には秘匿しておりましたがこれでは王太子が暴走してしまう。学園に上位貴族を教師として送るかしますか?」
1人の臣下が進言するが勇者が来たこの時期学園に教師を送り込めば下手な勘繰りをされてしまう可能性は大いにある。
例えば勇者を引きとどめるために美男を学園に送り込んだとか、美女であれば後々に王家に取り入れるために悪い虫をその美女に任せるためだとか。
見た目が悪い人物を入れる手もあるが優秀な人物で功績を挙げていなければ理由にならない。
美男美女であれば生徒のやる気にさせるためのとか色々下世話な話ではあるがそういった理由で王家は何回か送り込んだ事例があるため例外が効く。
「該当しそうなモノは今開拓村に行っておる。」
結局あの方に頼むしか無いのだが、あの方は断固として王都に戻りたがらないだろう。
あの方が満足できる研究がこの王都には存在しないからだ。
「あの方以外ですと居ませんな。」
「では勇者の幼馴染を王命をもって学園に入学させては?彼ならばあの方と同類とのことですし勉学なども良いはず。何より初の職業という大義名分もございます。」
「しかし勇者が王都に行くというのに見向きもしなかった人間だ。無理に連れて行っては不満が残り勇者も思い人が気分を害されたまま学園に居ては印象がよろしくないのでは?」
といか村長と同類の時点で自分のことしか興味が無いだろう。
報告書を見る限りでは外に行きたがらない典型的で閉鎖的な田舎者だ。
「確かに以前優秀な若者を辺境都市から連れてきたときは辺境の生き方と違い過ぎてすぐに辞めていきましたしね。一応国からの援助金がある反面勉学は確かに真面目に取り組んでおりましたが土地の馴染み方が違えば都とは呼べませぬ。」
「住めば都とは言ったものだがこの国は良くも悪くも格差が激しいな。」
激しすぎる格差は波紋を呼ぶ。
だがこの国にはスラムが存在しない。
理由は様々考えられるが第一にこの文明の違いがあげられる。
この王国はそもそも魔王に対抗するためだけに生まれた烏合の衆から始まっている。
今でこそ他国が存在するほどに人類は多くなったが昔は魔王と常に争い合う状態だった。
魔王は世界を支配しようと世界樹を手中に収めようとした結果その手前にあるこの王国の土地を襲った。
のちに勇者もその世界樹が悪さをしていたことに気が付くのだがそれはこの国の国王のみが知ることの許されることだ。
世界樹教の教えでは魔王のせいで不毛の土地となったと書かれているが世界樹があったからこそ不毛の土地になったとは誰も思わないだろう。
既に世間がそう伝えてしまっているのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます