第45話
今開拓村の村長をしている人物は本来であればこのようなことは1つ職業の人間でも中々できない優秀さだ。
それをあの男は3つ全てをやってのけた。
優秀と言わずしては上皇は無能になってしまうから誰もが認めていた。
あの村長の唯一の弱点があるとすれば女難だろうか?
「あの人のせいで結婚した人が減ったと言われるぐらいモテてたからな。」
何故かモテる。
優良物件ではあるが女性への気遣いが一切皆無な村長。
彼がモテているのは当時の学園7不思議の一つとなっていた。
ちなみに残り6つも全て村長関係である。
「婦人会のメンツもあの人に惚れてた人たちの娘だし勇者に悪い影響を与えないと良いんだが。」
純愛は確かに良いのだがそればかりに恋焦がれていた親を見て育った彼女たちは世間体と相まって純愛に走っていたら生き遅れるという感情が生まれていた。
勇者はあくまでも純愛でなければ生きていけないのだ。
無理に強要して王国から逃げ出さなければ良いと思うが…
「いやルチアさんの娘ってだけでもう無理でしょう。私も勇者については存じ上げていますが…しかもあの方の性格を間近で見てきたルチアさんいわく勇者の惚れた幼馴染もあの方と同じような性格ですし。」
「王都からの脱走は避けられんか。」
「そこは運次第かと。」
国王は頭を抱えていた。
「なんとかしてその幼馴染を王都に連れて来れないのか?」
「調べたところによると彼の職業はダブルの農民とスライムトレーナーだそうで。」
「スライムトレーナー?」
「ええ、教会の方に問い合わせたところ初めて見つかった職業だそうです。一応他国の教会の方にも問い合わせているそうですがモンスターのテイマー職はございますがトレーナーは初めてのことかと思われます。」
今までにトレーナーと名のついた職業は一つしかなかった。
「ふむ。今まで確かトレーナーという職業で確認されたのはボディビルドトレーナーだったな。」
初代勇者は女性でありその幼馴染にして思い人である青年の職業はボディビルドトレーナーだった。
「はい。初代勇者の思い人である方のみが確認されています。」
「して能力は。」
「身体を育て上げることに特化した能力ので世の女性や男性を理想の体型にするための料理、運動、睡眠などその他諸々を完璧にこなせるようになる職業とのことです。」
尚他にもボディビルダーという職業は存在するがそれは本人のみに変化が現れる職業だった。
「初代勇者様の話は有名だ。まだ王太子であるアーサーには伝えていないとはいえ勇者は思い人以外とは結ばれることはない呪いにかかっているが初代勇者様は決して結ばれることはなかった。故に初代勇者の末裔を名乗るものはおらん。他国の影響を受けている今の状態で勇者を妾にするとでも考えてしまったらこの国は滅ぶと思うか?」
ここにいる皆に問うた。
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