第38話
「わかったけどいつから建て始めればいいの?」
「その前に土地を決めないとな。うーん?」
「ほっほっほ、その城を建てたいのならこの辺がええじゃろ。」
村長は向こうの山を指さした。
「あそこか?」
「そうじゃ、あの山はモンスターの巣ではないがそれを超えた先に主の巣があるじゃろう。念のための防衛拠点として良いかと思ってのう。」
「確かにな。今は大人しくしてるがあの主には近づかない方が吉だし気が変わって襲ってきたときのことを考えると確かにあった方が良い。」
「主って何?」
「食料を必要としないモンスターでな、その代わり非常に縄張り意識の強いモンスターなんじゃがアレの種類はわしにもわからん。しかしその強さから主と呼ばれておる。」
稀に居るのだ。
生態系を超越したモンスターが。
総じて生態系を超越したモンスターは生態系外のモンスターのため通常という枠組みが通用しない。
そのモンスターを時の王が妥当しようとして勇者と軍の半数を派遣したにもかかわらず全滅したという逸話があるほど触れてはいけない存在だ。
スライムが油断すれば死ぬのに対してこの主と呼ばれる類のモンスターは触らぬ神に祟りなしと呼ばれ地方によって神話になっているモンスターたちだ。
「そうなんだ。普段なにしてるんだろうね?」
「それはわかないな。」
「ほっほっほ、燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)じゃよ。」
「なんていう意味?」
「大き過ぎる鳥の志は小さい鳥にはわかないということじゃな。ワシらのような矮小な存在に彼らの考えることは解らん。」
村長は偶に難しいことわざを使うがただ使いたいだけのようにも見えなくもない。
ユウゴもユウゴで孫によく見られたいおじいちゃん程度にしか思っていないから常識的にそんなことわざを知っている人自体が少ないことを知らない。
このことわざは山間部に位置する冒険者の界隈で言われてきたことわざで今では年をとった人くらいしか知らないことわざだ。
「村長、難しい言葉ばっかりじゃ勉強みたいでなんかヤダ。」
「ほっほっほ、人生は勉強であり実験じゃよ。命がけのな。」
「村長、それはあくまでもこの開拓村だけだからな。」
過酷な環境だからこそ命がけの実験場兼学校なのだ。
実践式の知識の補給、見て学ぶをより確かにできる教育をさせる。
「なにもこの開拓村だけではないがのう。まあ都会に行けば行くほど机上の論理とやらを学ばなければならんから儂は好きではないがの。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます