第37話

三つの城をよく観察してみるが特にこれと言った感性や戦術などが解るわけでもないユートは何となく良いと思った城に決めることにした。


「よし、3つとも建ててみよう!」


一つは家用に、一つはモンスターから護る防衛用に、もう一つは何に使うかはわからないからとりあえず別荘用に。


「3つとも建てるのか、大きく出たな。」

「最初はどれからが良いかな?」

「そうだな。俺が考えるには建てやすいのはガンサムの城、継いでピグミーの城、一番建てにくいのはスミスの城だと思うぞ。」


まだまだ木という植物は生えていない。

作物を育てるだけの水は確かにあるが土や1年経つと枯れるという課題が残っている。

特にスミスの城は自身の能力に頼りすぎておりどこまでの範疇で及ぶのかは知らないがたとえその量の木を作り出せたとしても特殊な技術を持った人材が必要になる。


「ガンサムの城も建てづらいは建てづらいが建てられないことは無い。前行ったデスカンクの行った先に鉱脈地帯がある。そこにいくらか燃料になる石もあるからそこから取って加工するか?」

「?」


資源に乏しいから誰も開拓したがらないとよく村長が言っていたが鉱物は資源では無いのかと思っていた。


「どうした?」

「どうしてみんなそれを取らないの?」

「それはだな父ちゃんぐらいの実力者しか取りに行けないって言うのが大きいと思うぞ。」


親父の実力がどれほどのモノかはあまり知らないので当てにならないが少なくとも開拓する気が起きないくらいには危険な場所だと思った。


「うーん。親父ってどのくらい強いのか基準が解らない。」

「基準って、なんか6歳児とは思えない言葉を使うよなユートは……。」

「そんなことは良いから、どのくらいの強さなのかわかりやすく教えて。」


ユウゴはどう説明したものかと悩んでいた。

ユートの基準になりそうなものはデスカンクやスライムたちだがどちらも実際に戦っているわけでもないと村長から聞いているし下手に立ち合いを行って間違った情報を植え付けてしまわないかと葛藤していた。

ただでさえこの村は特殊な環境だ。


普通の田舎としてすら機能していない村だし冒険者として否、ここ以外の土地を渡り歩いたものとしての常識とあまりにもかけ離れている。

この土地としての常識を教えるべきなのかそれともこの土地以外の常識を教えるべきなのか非常に悩ましい課題だった。

もちろん他の土地に必ず行くことを前提とするのなら普通のごく一般的な常識を教えただろう。


だがユートの意思はまだまだ揺れ動きやすい。

教える順番を間違えれば村から出ることなく生涯を終えようとするかもしれないし発火剤となって村の外のことを気にするようになるかもしれない。


「うーん強さって言うのに正解は無いからなすまないが答えることはできない。だが今度一緒に比較的安全な狩場に連れてってやるからそれで勘弁してくれ。」

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