第28話

「植物系ですら無いとな?」

「ああ、俺も植物系スライムで動く上位種とは戦ったことがある。だがそのどれもが既存のモンスターに似せて進化した種だ。」


冒険者としての経験の長いユウゴはスライム系の例外についての特徴も良く知っていた。


「オラさの見解なんだべが、このスライムはただの上位種に見えるんだべが……」

「なるほどのう。確かにスライムの純粋な上位種ならば一点を除いて辻褄が会うのう。」

「なんで純粋な上位種ならつじつまっていうのが合うの?」

「それは後で教える。」


ユウゴはユートに中途半端に知識を与えることを嫌った。


「そうじゃのう。このスライムの考察はおいおいすれば良いし大体の見当は付いた。早くこのスライムに名前を付けてやらんと。」

「じゃあ緑スラ坊で。」


何故かスラ坊を除くスライムたちがユートをつついてきた。


「名前が気に食わないのかねえ?」

「赤スラ坊と呼ばれていたのも名前だと気づかなかったのじゃな。」


「スラ坊で良くない?」

「儂はこいつが子どもの時から育てていたからそう呼んでいるがユートのスライムにはもっとカッコいい名前を付けてやるとええじゃろ。」


テイマーの中でも名付けが良いものでないとモンスターが離れていくということわざがある。

このことわざの意味はこれからのパートナーとして大切に扱わなければ離れて行ってしまうと言った意味を持っている。


ムニムニとスライムたちはユートを攻撃しているのだが男に需要は無いものを見せられている。


というわけでもなくほのぼのとした光景だ。


かわいらしいデフォルメのスライムのためR18的表現は一切(?)無い。


とは言え一部の愛好家の方々にはご褒美ともいえる映像が見えていた。


「なんか嫁が居たらすんごいヨダレ垂らしてそうな光景に見えるな。」

「おぬしの妻ならありえるのう。」

「そうだべそうだべ。」

「助けてよ。……うわ赤スラ坊ヨダレをつけないでよ。」


赤スラ坊はユートの顔にまたがりベロベロと舐めたくっていく。

どんどん髪や顔にヨダレが纏わりつく。


「ほほう。」

「ふむ。」

「だべ。」


とりあえず3人はユートの助けを無視して行商人のおじさんがそっと本を出した。


「とりあえずこの本の中からよさそうな名前を見つけるべ。」

「懐かしいのう。子どもにつけたい名前100専か、わしも悩んでわが子に着けたもんじゃ。」

「俺は最初から決めてたけどな。」


名付けというのは大層悩む人も居ればすぐに決めてしまう人も居る。

だがその名は一生を刻むかもしれない名。

スライムたちはスラ坊という仮名から相応しき名を求めてユートを説得していった。

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