第17話
「ねえ村長、魔石って何に使えるの?」
「ワシも昔王都でちらっと見たことがそこまであるくらいじゃからそこまで詳しくは無いのぅ。」
「知ってるのだけで良いから教えて?」
「ふむ。【ソナー】」
キーンというような音が周りに響き渡った。
「これなに?」
「これは魔力じゃな。」
「なんか意味あるの?」
「獲物の位置を把握することができるのう。」
さっきからキーンという音しか聞こえないのだが村長には獲物の位置がこれによってわかるらしい。
しかし村長も結構な年齢だからこういった高い音が聞こえなくなったのではとも思う。
年齢をとった村の人たちは高い音が聞こえづらい人が多いのも事実。
「わしはまだ歳は取っておらんよ。」
「なんかそういう人ほど年齢に勝ててない気がするのは気のせい?」
「まあよい。話がそれてしまったから戻すんじゃが魔石は魔法の補助の役割になるものということだけ覚えておけばええじゃろ。それとデスカンクの倒し方はこうじゃぞ。」
話しざまに小石を杖で弾いた。
「とまあこのように音も立てることなく近づいてくるのでそれを感知する術が必要ということじゃな。」
「うーん、なんとか見れたけど……。」
「このくらいは見れんと村で生きて行けんじゃろうて。」
「でも行商人のおじさんは見れないと思うけど……。」
物心ついてから行商人のおじさんが来た日に弾当て(ドッチボール)をせがんだのだが行商人のおじさんは真面目にやっているつもりでも棒立ちしているようにか思えないくらい鈍い動きだった。
「あ奴は魔力バカじゃったからしょうがあるまい。……それにユートがまだどの魔力を使えるかわかっておらんからのう。」
最後の方は良く聞き取れなかったがとりあえず狩られる前に狩ればいいということは納得した。
「で村長、デスカンクは誰が持っていくの?」
「もちろんスラ坊じゃ。」
スラ坊、全力の逃走を試みる。
会心の逃げを見事成功されるが村長のジャストキャッチによって阻まれる。
「これスラ坊逃げるでない。早くアレを吸収するんじゃ。」
ここまで逃走を邪魔されてはもう逃げ切ることは無理だと判断したのか、スラ坊はものすごくゆっくりとした足取りでデスカンクのもとへ向かった。
「ここからでもだいぶニオイが来るね。」
距離は十数メートルと中々に距離があるしニオイの発生源とは逆方向から風が流れているにもかかわらずハエが群がりそうな強烈なニオイが漂っていた。
スラ坊はデスカンクまで辿り着くとオエッという擬音が聞こえてきそうなくらい不味そうに吸収していった。
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