第18話
「そういえばスラ坊は居ないのかな?」
「そうじゃのう新たにスライムを見つけようと思ったのじゃが探そうとすると中々見つからないのう。」
普段は畑で散歩していても見かけるポピュラーなモンスターなのに道中も含めて見かけなかった。
よく目を凝らしては見ているが中々いない。
「どうやらスライムの前にデスカンクの方が先に来たようじゃな。」
「うんそうだね。ちょうどスラ坊の吸収も終わったようじゃしのう。」
「スラ坊あんなに臭いの吸収したのに臭くないね。」
スラ坊はちっとも嫌なニオイを発することなく戻ってきた。
「スラ坊お疲れ様。これお口直し。」
そういって差し出すのは畑で取れた芋を干したものだ。
スラ坊はそれを夢中になって食べていた。
このあとまたデスカンクを食べるかもしれないことも知らずに。
「じゃあ村長、あの害獣を駆除すればいいんだよね。」
「そうじゃのう。一人で行けそうかのう?」
「多分!」
無知の無謀ほど愚かなことは無いが恐怖を知らぬままに自信をつけさせることの方がもっと危険だ。
ユートの父であるユウゴはあれはあれで子煩悩なところがあり徹底的に技や術を覚えさせてから狩りに連れて行こうしていたから今回無理にでも村長が連れてきたのだ。
恐怖を知らぬ慢心は時に死を近づける。
そのことを教えるために恐怖を植え付けやすい洞窟でしかも不快なことをするモンスターの近くという点が重要だ。
「よしじゃあやってみい。」
ユートは石を投げてけん制するが村長のようにうまくは行かずデスカンクは逃げてしまった。
デスカンクは逃げる際異臭を放ったので追うに終える状況でもなかった。
「村長、失敗しちゃったよ。」
「ふむそうじゃのう。じゃが戦闘は終わってくれんぞ。」
「え?」
ユートの視界は反転した。
「ふえ?」
子どもの体格故に吹っ飛ばされるが即座に動いた赤スラ坊がクッションとなり受け止めた。
「赤スラ坊、ありがとう。」
赤スラ坊はペシペシとユートを叩いていた。
「赤スラ坊?」
「ふむ、油断はするなといったところかのう。それにデスカンクに石を投げた時もそうじゃが額を狙おうとするくらいなら砂を投げて視界を遮りつつ奴の鼻の感知を妨げるほうが上出来と言いたんじゃろ。」
村長は突撃してきたモンスターを杖で受け止めながら説教気味に意見を話す。
赤スラ坊もそれに呼応するようにコクコクとうなづいていた。
「それとこいつはゴブリントレイン、デスカンクを襲うモンスターを仕留めるモンスターじゃ。」
異様に足が肥大化したゴブリンがそこに居た。
「ニオイのついているユートを襲うぞ。」
その言葉と共に戦闘は始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます