第13話
「成るほどだべな。食べられないモンスターを狩って肥料にするんだべか?」
「そうじゃ、奴らは人間では食えないほど不味くなることでこの不毛の土地を生き抜こうとする奴らもいるがわしらからすれば畑を荒らす害獣に過ぎん。」
「不味いモンスターってアレのこと?」
「そうアレじゃ。」
村長の言うアレとは死なない間は特に何もないのだが一度死ねば悪臭を出すモンスターのことだ。
初めて嗅いだものはあまりの匂いに気絶してしまうくらいに強烈なニオイのためまず最初に子どもに嗅がせるという行いをするくらいの危険モンスターだ。
「おめえらの言うアレとはなんだべやぁ?」
「アレか、アレとはなデスカンク。従来のスカンク系のモンスターと違い死肉に匂いを凝縮させたモンスターなんじゃよ。」
「デスカンクというだべか。確かにスカンク型のモンスターは身体の体臭をかき集めて強烈なニオイ物質を生成するモンスターだべが肉はもんげえうめえど噂だがデスカンクは不味いんだべな。」
スカンクと名の付くモンスターの数々は体内の臭みを武器に使うべく凝縮させているため肉にクセが一切なく気になる風味も無いため好き嫌いで肉が食べれない貴族の子にわざわざ冒険者に頼ませるほどの高級食材として有名だった。
「スカンクの肉って美味しいの?」
「そうさなあ勇者になったお嬢ちゃんがいっぱい稼いで食べれるようになるくらいだべ。」
「行商人のおじちゃんは食べたことあるの?」
「最下級種のやつは食べたことあるべな。」
最下級種とは主に通常種の赤子のことを指す。
モンスターは成熟したものの方が美味しいものが多いとは親父の弁だ。
「村長、スカンクも長生きした奴の方が美味しいの?」
「そうじゃのう。臭みの攻撃は成熟したスカンクのものほど強いとされておるからのう。」
「ハンターの話によればその分臭みを多く吸収していると言われておるのう。」
「どっちも食べたことは居ないの?」
「わしらは無いがどちらも食べたことのある貴族の話だと成熟した個体の方がうまいらしい。」
しかしここでユートにはある疑問が頭に生じていた。
「村長は貴族と知り合いが居るの?」
何気ない一言だった。
当然と言えば当然の質問だった。
二人は思わず大きく目を見開いてしまった。
「まあ仕事の間柄あったりするだけじゃ。」
「でも村長の家に行商人のおじちゃん以外に来たことのある人は知らないよ。」
「ほっほっほ、ユートが生まれるより前じゃよ。知らなくて当然じゃよ。」
なにかはぐらかされたようにも感じたがこの二人にも隠したいことがあるように思えた。
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