第11話

「でもさいくら荒れた土地で育つからって条件違わない?」

「そうだべなぁ荒れた土地って言ってでもミミズが一匹はいる土地だしなぁ。」


不毛な土地はミミズすら寄り付かない土地だから育つ作物もかなり限られてくる。

その典型例が芋だったり水が少なく痩せた土地でも根付くことのできる植物だった。

だがその根付く植物も長期間根付くことはなくせいぜい持って1年ほどだった。


どんな木を植えようとも1年経てば枯れてしまう。

しかも腐って朽ち果てるのではなく

砂のように崩れ去り不毛の土地の一部となる。


今ユートたちが育てている作物も苗木になる分を素早く取り不毛の土地の一部となる前に保存する。

それほどまでに過酷な土地故に人は欲しがることがない。

管理が難しすぎる。

さらにはモンスターが蔓延る。


この不毛の土地を生き抜くためにどんな獲物も逃さず糧とする種が数多く存在する。

ユートの父親であるユウゴが狩ることで食事に当てている。

腹が出ているが腕は鈍っていない。


「まあこのトマトって野菜の産地で聞いたんだけどもぅ。そこの人が言うんけどわ地面に腐ったもんぶん投げるんだべさ。」

「腐ったもの?」

「そうだべさ。そうすりゃあ砂が土になるん言うとるんべさぁ。」

「でもさぁここじゃ腐る前に砂に成っちゃうよ。」


死体も何もかもが砂になる。


「ほっほっほ。」

「村長、いい加減その変な笑い声揚げるのやめたら?」

「まだ言うかのう。これが一番村の村長っぽい威厳があるじゃろうに。」


村長はどこまでも残念な人に見えてくる。

しかし村長も村長で威厳が高くないと他の偉いさんにあったときに舐められるからあながち間違いでもないんだけどね。


「おうムー坊一月ぶりだべさ。」

「ギー坊も元気そうじゃのう。」


ガシガシパンパンガシン!


親父曰く昔バカやってた人たちの挨拶をする2人。


「んで村長は何しに来たの?からかいに来ただけじゃないんでしょ?」


村長は悩める村人が見えた時のみにほっほっほという奇妙な笑いとともに現れるのだ。


「そうじゃのう。わしも昔本で読んだきりなのじゃが腐るというものはスライムで代用が可能らしいのじゃよ。」

「へえ赤スラ坊やメタルスラ坊でも出来そう?」

「どちらかというとわしのスラ坊の方が適任じゃな。」

「なんで?」


村長はそう急ぐ出ないとユートを戒めたのちに自分の従魔のスラ坊を呼び出した。


「スラ坊やすまんかったのう急に呼び出してしもうて。」


村長の家からダッシュできたスラ坊はグったりと身体が液状になっていた。

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