第10話
9
メタルスラ坊はその身体を震わせ行商人のおじさんに撫でられていく。
「うん結構冷たいんべさなぁ。こりゃ夏は便利だべ。」
「あったかくすることもできるよ?」
「そげなこともできるんだべか、便利な子やな。」
ただ一緒に遊んでいる時に熱くなり過ぎるとその地面も熱くなってしまうので普段は冷たくなるようにお願いしている。
「そういえば坊はこのスライムたちといつ出会ったんだぁ。」
「わかんない。でも気がついたらそばに来てくれたよ。」
ユートは覚えていないが村長が世話をし始めた時から野良の、まだ上位種ですら無かった頃からこの2匹は一緒に居た。
村長はこの時点で自分と同じスライムテイマーの適性を持っていると思っていたが進化をしたことで自分とは違う職業だと感じていた。
その予感は見事に的中しスライムトレーナーとなっていた。
「気がついたらそばに居てくれたべかぁ。まるでわいの奥さんみたいだべなぁ。」
「おじさんにも奥さん居るの?」
「そらあ居るべさ。」
行商人のおじさんは結構美形だ。
今は歳をとったせいかシワが見えるが昔はかなりブイブイ言わせていたもんじゃと村長が言っていた。
「今度村長に聞いてみるね。」
「聞かなくとも連れてくるべさぁ。今度まだ家族と来るべさぁ。村長とこに用事あるべっからに坊も楽しみにさしとけべよ。」
「開拓が忙しくなければ良いよ」
行商人はその言葉にニコッと笑いユートの頭を撫でていた。
「やっぱ男の子(おのこ)はデッカい夢持つんがカッケえべさ。開拓頑張れんさぁ。」
「うんありがとう。」
「あとこいつは手助けじゃねえけども最近仕入れた野菜の種があるから試してみてけろ。」
そう言って行商人は懐から種の入った袋を取り出した。
「これは?」
「こいつはトマトっちゅう野菜の種さぁ。最近入ってきたやつで痩せ細った土地でも育つみたいなんだべさ。」
「芋、葉?」
「芋でも葉でもじゃねえべさ。そういえば坊は実の野菜食ったこと無かったべかぁ。こいつは実だけ食うんよぅ。苗は食うんでねえど。」
「どうして?」
「毒あるみたいんよぅ。」
「わかっホゲッ!」
空返事で言ったら赤スラ坊に叩かれた。
「何するの赤スラ坊?」
シュピッ!シュピッ!
行商人とユートを交互に指差す。
「フハハハハ、きちんと人の話聞いとけべさぁ言ってんだべさ。」
コクコクと頷く赤スラ坊。
「世話焼きな嫁さみたいなスライムなったべ。」
「なんか赤スラ坊は面倒だなぁ。」
その言葉にペシペシとユートを叩き続ける赤スラ坊。
「ヤキモチ妬いとるべ。こりゃあ嬢ちゃんと会ったら見ものだべなぁ。」
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