第9話

それから1週間、スラ坊たちは村人たちから受け入れられ行商人が来る日となった。

何故か司祭様も私の手に余る案件ですね。まあ適性職業ということにしておけば何も言われますまいと呟いていたが気になるが開拓には関係なさそうだったので忘れることにした。


「おい坊、彼女いなくとも元気にしとったかぁ?」

「彼女?」

「あれ、坊といつもそばにくっついていたもう勇者さまになっちまった嬢ちゃんが居たでねえかぁ。」


そんなつもりは一切ないのだが……

確かにいつも一緒に居ることは多かった気がするけどただワンワンうるさい狂犬ぐらいにしか思っていなかったのが現実だ。


「彼女でも何でもないよ。勝手についてきただけだし。」

「そうかぁ?坊のこと私の彼氏だって言いふらしとったが?」

「知らないよ?」


いつの間にそんなことを言っていたのだろうか?

畑仕事の最中もマリアンヌは引っ付いてきたがそういう意図があるとは分からなかった。

まあでもこんな辺鄙な土地のフィアンセなんてものはそれこそ彼女くらいしかいなかったのだからある意味間違っていないようにも見えたからなとっ得したのだろう。


「それじゃあ嬢ちゃんはあれだな坊主はこの村でのフィアンセだったって意味だな。」

「マリアンヌと結婚なんて嫌だなあ。」

「それは王都か他の土地の人の前では絶対に言うでねえど。」


行商人のおじさんは鬼気迫る表情でそんなことを言ってきた。

なにかマリアンヌがまたあらぬ噂を立てたのだろうか?


「どうして?」

「どうしたもこうしたも嬢ちゃんが王子様に求婚されたんべがその断った理由が村に恋人がいるからってんで坊主のこと話してしまがだに。」

「別によくない?事実でないんだし。」

「何もないさわけがねえべさ。王子様さが激怒して軍隊差し向けてくるかもしれねえだよ。」


行商人のおじさんはとんでもないというオーラを醸し出しながら話を進める。


「王子様さは暴君でよ。王子様以外に息子がおればそれで丸く済むんだべさけども王様の息子が1人しか居ねえんべさ。だから、息子溺愛しとるんよ。嘘だと分かったら勇者には怒れぬから怒りの矛先を村に向けんべさ。」

「なんで息子が1人だとそうなるの?」

「王国は代々男しか王様になれんべさ。坊は吟遊詩人から聞かなかったべかぁ?」


ふーんと言った感じで話していると赤スラ坊とメタルスラ坊が畑から帰ってきた。


「こりゃあめんこいスライムたちやな。村長から聞いとったが上位種と友達になったんだべなあ。触ってもええか?」

「スラ坊たちいい?」


メタルスラ坊はコクリと頷き、赤スラ坊は首を振ってユートの頭に乗った。


「メタルスラ坊は良いって。」

「賢いべさぁ。村長のとこのスライムくらいに賢いべなあ」

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