第2話

校舎の中央にある闘技場、そこには大男が二人立っていた。

一人は決闘相手の健斗を待っている長門正剛である。そしてもう一人が。

「アイツ、来るか?」

身長二〇〇センチの大男、長門の相棒で金の亡者の大和猛豪(やまとたけとし)だ。

「来る・・・・・・。奴は武侠だからな」

大和に対して長門が答える。

「アイツが例の東鬼一族の末裔なんて俺には信じられねぇよ。そもそも東鬼一族の伝説だの俺は最初から信じてないからね」

「奴は強ぇー・・・・・・目を見ればわかる」

「あのチビがか? 俺にはとてもそうは思えないけどな」

大和の言う通り健斗の身長は一五〇センチも満たないほど小柄である。しかし、長門にはその健斗から強大な力を感じ取っていた。

――この男に自分の腕っ節を試してみたい。

その一心で書いたのが健斗の下駄箱に入っていた果たし状であった。

長門と大和が待っていると闘技場の入り口から小さな人影が見えた。

「おぉっ、来たみたいだぞ!」

健斗がやって来た。

向かい合う両者は大人と子供以上の身長差だ。

「よー、大層なラブレター送ってきてくれたじゃん」

「・・・・・・」

無言で健斗を見下ろす長門。

大和から見えたその長門の目つきは武侠を見る目つきそのものだった。

「俺と付き合ってくれってか? 悪いが俺にゃぁそんな趣味がないけぇ。何、アンタならきっと別のええ相手が・・・・・・」

健斗の話す途中に炸裂する長門の剛拳! それに健斗は瞬時に反応し、小さな両腕で受け止めると同時に後ろにステップし、衝撃を和らげる。

喋っている途中の長門の不意打ちとも思える一撃を瞬時に見切った健斗に大和も見る目が変わった。

確かにただ者ではなさそうだ。だが、この身長差は圧倒的に不利だ。さぁ、どうする東鬼健斗。


※※※


「しまった! もう始まってるみたいだぞ」

闘技場の客席には急いで駆け付けた早乙女美沙と望月聖華が居た。

どうやら美沙が購買部でポテチをコンソメにするかうすしおにするか迷ってて少し遅れたみたいだ。

「美沙ちゃん! 先生か誰か呼んでこようよ! このままじゃ東鬼くんが・・・・・・!」

「東鬼流は伊達じゃないぞ。それにしても凄い身長差だなー」

「もうっ! 美沙ちゃん! 東鬼くんがどうなってもいいの!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大武侠峠 大部屋創介 @obeyasosuke

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ