第14話 閑話1

箱入り娘の自分は、父の許可がないと、外出出来ない。

今日も自室で、お人形遊びに勤しんでいる。

とても暇だわ。

自室は、和洋折衷の部屋になっていて、子供部屋にしたら、随分、広い。

両親のこだわり抜いた部屋は、とても素晴らしい家具ばかり。

オモチャ一つでさえ、精巧なもの。

天井の中心に、百合の形をしたランプが、明かりを灯している。

毎日、メイドたちが、部屋を整頓してくれるから、清潔で、何不自由がなく、回りから見たら、生粋のお嬢さんと呼ばれる。

一人遊びをしてる私に、ノックが、叩かれる。メイドだ。

「失礼致します。撫子お嬢様。お嬢様にお手紙が届いてます。」

「手鞠ちゃんね?」

大親友の手鞠からの手紙に、勢いよく、立ち上がる。

彼女の家は宿を経営していて、家庭環境もあまり変わらない。

いそいそと受け取り、手紙を開け、目を通す。

「…!お母様ー!お母様ー!」

「撫子お嬢様。大声を出しては、はしたないで御座いますよ!」

メイドに注意されるが、気にせず、廊下に出る。普段なら、廊下を走らないし、ワンピースを翻すような真似はしない。

「撫子お嬢様。お待ちを!」

待っていられないわ!だって、私、こんなに楽しみにしてるのよ!

ワクワクしちゃう!

母がいるだろう、我が家のテラスに向かう。

手紙を握りしめ、走る娘は、年齢相応のかわいい女の子である。

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