菫とちょっとした放課後デート

「主人様、少しよろしいですか?」


大休憩の休み時、弁当を食べ終わった菫さんがトントンと僕の肩を優しく叩いてそう話しかけてきた


「何?」


僕は菫さんの顔を見るように顔を上げた

どうやら、何かあるようだ


「主人様、今日は何かご予定などありますでしょうか?」


「ん?何もないけど....どうしたの?」


菫さんは顔をピンクにしている

どうしたのかなぁ?と思っていると菫さんが口を開けた


「主人様、放課後よければ私と....その、パンケーキを食べに行きませんか?」


「え?」


びっくりした、いや、菫さんも女の子だから当たり前だと思うけどお金持ちの菫さんが言ってくるには意外だった


「だ、だめでしょうか?主人様が嫌でしたら、嫌で構いませんので」


驚いて固まっていると菫の顔がどんどん悲しそうになっていく

僕はそれを見た瞬間に慌てて菫さんに返事する


「うんん!全然嫌とかじゃないよ、いいよ行こ?だけど少しびっくりしちゃった」


まぁ、単純に菫さんに急に誘われたのも驚いているのだけどね


「はぁ....やはり主人様はお優しいお方....ありがとうございます、では帰りはいつものように2人で帰りましょう」


「うん」


それから菫さんと話しをして休憩時間を乗り越えた


〜 〜 〜


「はぁ.....やっと終わった.......」

長い授業が終わり、背伸びをした僕は約束のことを自発的に思い出した


(菫さんとそういえば約束してた)


授業中、いつも通り菫さんがこっちを向いてきてそれに目を向けると菫さんがまじまじと目を合わして

ニコッと笑う

たまに手を振ってくれたりする


だけど、この開放感によってそのことが忘れられていた。


「主人様、では行きましょうか」


いつのまにか、机に鞄を置きながら教科書を入れていると菫さんが横に立っていた。

ただ待っているだけで姿勢などから礼儀正しさが伝わる。これは、社長令嬢だからであろうか。


「ちょっと待ってね、今用意してるから」


「あぁ...主人様、そこまで焦らなくともゆっくりで構いませんから」


せっかく早く来てくれたからと焦っていたところをさされた


「ありがとう、でももう準備できたから行こう?」


〜 〜 〜

うふふ、主人様と放課後デート楽しみで先程から心臓の音がうるさくて仕方がありません

主人様といるだけでこんなに幸せなのに、2人きりでデートなんて.....幸福の極みです


是非将来を誓い合いたいですわ、主人様に才能とか、頭の良さとかいりません。

私は主人様が大好きですから、私だけの主人様です

ですから、きっと、主人様を捕まえに行きます


「菫さん、菫さん?」


「ひゃいっ、なんでしょうか?」


うぅ、主人様に2度も呼ばせるなど失礼すぎます私、もっと主人様に失礼ないよう努力しなければ


「もうすぐ....かな?」


小さくグゥとなった主人様のお腹が聞こえた

食いしん坊さんと言いたいところですが、そんなところまた可愛くて愛しくてたまりません!

はぁ....今すぐ私のところへ来てくだされば何もかも願いを叶えて差し上げますのに。

私のお金も体も心まで主人様のものですから...


〜 〜 〜


「いらっしゃいませー、何名様ですか?」


店に入ると店員さんが話しかけてくる


「2名で」


菫さんに誘われたのもあるので、こういうことは僕がやろうと思っていたので菫さんが口を開ける前に僕が言った


「こちらはどーぞ〜」


僕たちは、店員さんに案内された席に座る


「主人様、ありがとうございます」


「ん?あぁ、全然いいよ菫さんに誘ってもらったんだし」


しかも言うだけなので恩返しになってるから分からないけどただなんとなくやろうと思った。

それだけ


「主人様、どれにしますかぁ?」


笑顔でニコニコとメニューを見ていたので、本当に楽しみにしていたんだなと感じられた


平日なので、店内はそこまで人はいなかった

幸いと言えば幸いだ


「うーん、やっぱり人気ってかいてるふわふわパンケーキにしようかな」


「うふふっ、主人様らしいです、では私はこれで

すいません」


僕らしい?と思っていると菫さんがすぐに店員さんを呼んだ、これも僕がしようと思ってたのに....


「これと......これと......」


一つ一つ聞こえやすいように店員さんと目を合わしながら話す菫さんが僕にはすごいなぁと思ってしまった

僕なんて、伝えるのに一生懸命だ

つまりコミュ障というものである。


「ふふっ、主人様、来れて良かったですね」


「うんそうだねー」


「そういえば、菫さん今更だけどなぜ僕をここに?」


「そうですね......特に理由はございません、あるとすれば主人様と2人きりになりたかった、それだけです」

 

「っ、そ、そうなんだ....ありがとう」


頬をピンクにしている菫さんにそんな嬉しいこと言われたら照れてしまう


「うふふっ、主人様ったら可愛いですね♡」


それから、菫さんにずっとからかわれていた


「お待たせしましたぁー」


店員さんがおぼんを片手にパンケーキを持ってきたようだ。


僕はふわふわパンケーキ、菫さんは、パンケーキ横にフルーツなどが置いてあった。


「では、「いただきます」」


「ん〜!おいひぃー!」


「主人様美味しいですねー」


本当に美味しくてふわふわしている


「主人様、よければ私の、いかがですか?」


いいの?


「はいっどうぞ召し上がれ」


「菫さんも僕のどうぞ」


実は菫、ここでトリックを一つ挟んだ

自分のフォークを取らずに優希に渡したのだ

そうすることによって優希は、フォークを撮るのを忘れて私ので間接キスすることになる


案の定、優希は菫のフォークで食べた。

そして菫だが.....


「はーーむっ、ちゅっ、はぁむ、ちゅっ」


いやらしい音を少し立てて優希のフォークを貪り尽くした


「菫さん?!」


「はい、主人様♡」


菫の顔は変態のそれだった。



























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る