思春円環殺人事件

自我は密室 自意識は血痕

桜の木の下には舌を出した死体

探偵は一人 推理を続けている

入れ子構造のクローズド・サークル


春に閉ざされた言葉は

花吹雪に飛ばされて君に届かない

予測変換が並べ立てる無意味

誰もそんなことを思ってなどいないよ


自問は自傷を経て自動的に自白へ

「傷つけられる前に傷つけ」 思春主義の教え

探偵は一人 弁解を重ねている

終わりの見えない痛みの作文


春に閉ざされた言葉は

陽光に隠されて君に届かない

ルビにルビがふられ続けて

永遠に読むことのできない詩を

ふりかざして心に突き刺した

桜の木の下で君が笑った

幻視した血が静かに消えていった

誰もそんなことを思ってなどいないよ

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