第4.5話 唯一の親友

 その日の夜。


 僕は明日の学校の準備をしながら、ある人物と通話をしていた。


『へぇー。お前にもついに好きな子ができたか』

「!! き、気になるだけだよ……っ」

『いやそれ「好き」って言っているようなもんだぞ?』


 その相手とは、相川あいかわ陸斗りくと


 同じ中学の同級生で、人見知りで困り果てていた僕に声をかけてくれたのが、彼だった。


 僕にとって、唯一と言える親友だ。


『それで? そのオシャレで綺麗で可愛いって言うギャルの子が、どうしたんだ?』

「えっと、その……実は、かくかくしかじかで……」

「それじゃわかんねぇーよ。ハッキリ言え」

「うぅぅぅ……」


 ……。

 …………。

 ………………。


ようするに、好きな子ができたのはいいが、次になにをすればいいのかわからないってことか』

「はい……その通りです……」

『なるほど、そういうことか』

「こういうことを頼めるの、陸斗しかいないんだよ……っ」


 なぜ、彼にこのことを相談したのか。


 それは、陸斗が中学の頃、女子にとても人気があったからだ。


 運動神経抜群、成績優秀、顔はイケメン、と三拍子揃っているのだから、モテないわけがないのだが、自分本位な性格と女子に求めるレベルが高すぎたことで、毎週のように告白を断っていた。


 それもあって、結局、彼女は一人もできなかったという。


 ――…そう考えると、相談する相手を間違えたのかもしれない……。


「なにか仲良くなる方法があったら、大変助かるんですけど……」

『仲良くなる方法かー。まぁー、まずは相手のことをよく知るところからだな』

「…………っ!!」




 ――相手のことをよく知る、か……。

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