第2話 親しみと戸惑い

翌朝、教室で授業開始のチャイムがなったと同時に、教室のドアがバンッとあけられ、男子生徒が入ってくる。


「おい、葡波。今何時だと思ってるんだ。」と先生が声をあらげ、注意する。


私も彼をみてびっくり!えっ!葡波って?もしかして昨日の…?。

彼は窓側の1番後ろの席につくなり、机の上に両足を投げ出して横柄な態度で座った。

始めは皆、ざわざわしていたが、担任もそれ以上、関与せず、淡々と授業を始めた。


休み時間

「葡波くん…」

「よう!昨日はちゃんと帰れたか?お嬢様!」といやみっぽくニヤリと笑う。

「謹慎処分だったのってもしかして葡波くんなの?」

「ああ、そうだよ。」と口調も横柄だ。


私は、葡波くんが謹慎中だったことよりも、子犬のことが気になっていた。

「ねえ、あの子犬…だけど…。」と少し恐々きいた…。

あの子をみたい…触りたい…抱きしめたい!そんなことを考えてると、自然と笑みがこぼれてた。

「なにニヤニヤしてんだ。気持ちわりぃなぁ。ちゃんと元気だ。」

葡波くんがじっと見つめてくる。

私を下からのぞきこむように

「そんなに心配なら…今日、俺んちくる?」

「えっ!ほんと?いいの?いきたい!」

葡波くんはちょっとびっくりしたように目を見開いた

「おいおい…。」

葡波くんはなぜか戸惑っているようだったが、そんなことどうでもいい!

あの子にあえる!と思うといても立ってもいられなかった。


放課後、帰ろうとする葡波くんにすぐさま駆け寄り「じゃ、いきましょ!」と意気込んだ。

葡波くんはあきれた顔をして

「あんたほんとに俺んちくるつもり?お嬢様が男にほいほいついてくるってどうよ…。世間知らずもいいとこだぜ…。」


私は立ち止まった…。ほんとだ。なにやってんだろ私…。昨日、今日あったよくわからない男についていこうするなんて。

今までの私ならありえないわ…。

とあれこれ考えていると、表情が険しくなる。そんな私の感情を察したのか…


「しゃーねーな。こいよ…。」と観念したようにいった。


みんな葡波くんを恐いと避けるけど、私は恐くない…それどころかなんか親近感がわいてくるのはなぜ…?

なんて、考えながら葡波くんのあとについていった。


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