第28話 襲撃のアイスゴーレム
フロストン王国の王城には氷のように雪だるま達が集結していた。
「よくぞ集った我が精鋭達よ、そなたらアイスゴーレム隊に地球侵攻を命じる!」
城壁に立つプリンセス・フロストンの叫ぶ命令に、雄叫びで答える雪だるま達。
彼らはただの雪だるまではなく、アイスゴーレムの部隊。
雪だるまから氷で出来たロボットのような姿に変形する怪物だ。
「宜しいのですか、フロストウルフ部隊も付けなくて?」
プリンセスの傍にいる雪だるまの大臣が主君に進言する。
「まずは威力偵察よ、アイスゴーレムならいくらでも生産できるもの」
プリンセスが答える。
「かしこまりました、それでは地球へのゲートを開きます」
大臣が一礼をしてから、両手を空に掲げる。
すると、空に黒い穴が開き雪だるま形態のアイスゴーレム隊は空の穴に吸い込まるように上昇して行きやがて穴と共に姿を消した。
「たっちゃん、寒い~♪」
冬になった事にかこつけてジークリンデが竜也に抱き着く。
「俺は暖かいよ」
ジークリンデに抱き着かれた事で、胸がときめいているのがバレているのが恥ずかしい竜也。
「いや~ん♪ たっちゃんがデレてれる~~~♪」
ジークリンデもデレ出すと、バカップル全開で二人は下校していた。
だが、そんな二人の幸せだけでなく地球全体に向けられた脅威が迫って来た。
「あれ、空がおかしい? リンちゃん、ブレスぶっ放して!」
「へ? あ、敵だっ!」
空から降って来た敵意に気付いた竜也とジークリンデが、口からドラゴンブレスを吹いて撃墜するも街のあちこちに氷で出来たロボットもどきの怪物アイスゴーレムが降下する。
突発イベント的に地球のヒーロー達は、フロストン王国との戦闘に突入した。
街のあちこちでヒーローとアイスゴーレムが戦う中、竜也達もアイスゴーレムを蹴散らしつつ帰宅する。
「継承者、良く帰って来た家族は無事ぞ!」
ファフナー邸と岸野家主変を守って戦っていた黒月の鎧が二人を出迎える。
「サンキュー♪ 良かった、まずこの近所は無事だな」
「黒月やるじゃん♪」
ファフナー邸の方に竜也達は荷物を置くと、二人は戦うべく家を出た。
二人が外へ出ると、あちこちで知った顔も知らない顔も戦っていた。
「リンちゃん、黒月、
竜也がまず黒月の鎧を身に纏い、その上でフリーデンへと姿を変えた。
両腕は肩アーマーの爪が手の甲までスライドして鉤爪になり、双肩には大袖と呼ばれる装甲が付いた。
胴には満月が描かれた陣羽織を纏い、顔のマスクには面頬が追加と日本と西洋の鎧が混ざった和洋折衷な姿にフリーデンは姿を変えた。
「フリーデンムーント、見参っ!」
フリーデンムーントが構えを取ると、同じく武者風の鎧を纏たジークリンデがほら貝を吹き鳴らした。
「いざ、出陣っ!」
ドラゴン化したジークリンデに跨り、フリーデンムーントが飛び立つ。
「どこもかしこも敵だらけ、幾らでも切り伏せるぜシャッテン・ヘレ!」
空から敵を見つけると、自分と敵だけを影の空間に引きずり込んだフリーデン。
引きずり込まれたアイスゴーレム達は、一斉にフリーデン達に襲いかかる。
「お前らの攻撃何て旗で十分だ!」
フリーデン、いつの間にか両手に持った
「お返しだ!」
フリーデンが振るう幟は黑い大斧となり、アイスゴーレム達を粉微塵に打ち砕く。
「良し、次の敵を狩りに行こう俺達三人なら行ける気がする!」
自分達が展開した空間から出たフリーデン。
「街の方も結構片付いているみたいだな」
フリーデンが見回すと、市内ほとんどがヒーロー側の勝利で終わっていた。
一旦ジークリンデが元に戻る。
「チェインに皆、画像上げてるね♪」
ジークリンデがスマホアプリを立ち上げてSNSを見る。
幻想科の仲間達が次々と勝利報告を上げていた。
「リンちゃん、急に日常モードになるのは危ないよ!」
フリーデンが、ジークリンデを後ろから抱きしめて周囲を警戒する。
「ごめん、けどフリーデンがいるから安心♪」
「いや、その信頼はありがたいけれど……」
フリーデンモードから気持ちが元に戻りかけた時、黒月が叫ぶ。
『継承者、空に感有り!』
「まじかよ、今度はでかい穴だな!」
フリーデンが空を見上げると、一斉に街の周囲から黒い穴に向けてビームやミサイルと弾幕が撃ち込まれる。
「あ、ヘリオスマンとハクギュウジンが飛んで行った!」
果敢に空の穴へと飛び込んで行くのは巨大ヒーローやロボット達。
「リンちゃん、俺達も行こうぜ!」
「うん、休憩終わり巨大戦だ~っ♪」
ジークリンデとフリーデンムーントが重なり合い、巨大な竜騎士ジークフリーデンとなる。
ジークフリーデンの中では、竜也、ジークリンデそして黒月の鎧が揃っていた。
「あれ、竜虎合装が解けちゃったの?」
ジークリンデが不思議がる。
「お主と継承者が重なったから、我よりもお主の領分が増えて弾かれたのだ!」
黒月が不満を漏らす。
「んな事の前に、みんなを受け止めるぞ」
ジークフリーデンより先にく黒い穴に突入したヒーロー達がはじき出されて来た。
「やらせないよ!」
「うむ、
ジークフリーデンの中で三人が息を合わせて、巨大な影の投網を放出してヒーロー仲間達を空中で受け止めた。
「助かったよ、フリーデン♪」
「恩に着るぞ、岸野君達♪」
「救助感謝、空戦続行!」
知り合いのヘリオスマンやハクギュウジンだけでなく、初対面のヒーロー達から
感謝の言葉を貰うジークフリーデン。
影投網を解除すると、ヒーロー達は皆空中での姿勢制御をやり直した。
ヒーロー達をはじき出した空の黒い穴からは、先ほどとは違い三十mほどに巨大化したアイスゴーレムの群れであった。
「黒月、籠手飛ばしだ!」
「相分かった!」
「飛ばせ鉄拳っ♪」
ヒーロー達が空中で光線に入る中、ジークフリーデンも巨大化した黒月の籠手を発射してアイスゴーレムを打ち砕く。
だが、粉砕されて氷の粉になったはずのアイスゴーレムは再び結合して襲い掛かって来た!
「しまった! こいつら地球の水蒸気を取り込んで再生してる!」
竜也がその事に気付くと同時に、他のヒーロー達も炎や熱線に切り替えて敵を蒸発させ始めた。
「あ! ヘリオスマンとハクギュウジンの変身が解けちゃってる!」
ジークリンデがエネルギー切れで変身が解けて落下して行く仲間達を見つける。
「やばいな、もう一度影投網だ!」
「応さ、やらせはせんぞ!」
再びジークフリーデンが巨大な闇の網で、燃料切れで落下して行く仲間達を受け止める。
「ここは一旦、退こう!」
ジークリンデの叫びに頷き竜也は助けた仲間達を連れて地上へと着陸した。
ジークフリーデンも地上に降りた途端に変身が解ける。
「駄目、お腹減って疲れた~!」
「危ね!」
竜也は倒れかけたジークリンデを受け止める。
「継承者、我も腹が減って戦が出来ぬ」
黒月もエネルギーが消耗したのか倒れる。
「お前もか、敵は……動きが止まってるというか、味方を食ってる?」
新手の巨大アイスゴーレムは空中に留まり食い合いを始め徐々に巨大化して行く。
「ようは飯を食う時間が出来たって事か、俺達も食ってリベンジだ!」
腹が減っては戦はできぬ、竜也は黒月の鎧を身に纏いジークリンデを担いで
食料の確保へと向かった。
「お、見つけたぜ後輩共!」
ボックスを積んだ専用のバイクに乗って竜也達の前に現れたのは、先輩ヒーローのハイウェイダーだった。
「先輩、どうしたんですか?」
竜也が尋ねる。
「お前ら巨大戦ができる奴らに、俺達生身組が飯や弾薬をデリバリーだ♪」
ハイウェイダーがボックスを開けて三人分の弁当と飲み物を竜也に渡す。
「ありがとうございます」
ハイウェイダーに礼を言う竜也。
「おう、じゃあ俺は次の奴に配りに行くから飯食って気張れよ!」
ハイウェイダーは竜也にサムズアップをすると、再びバイクで走り去った。
「あ、ご飯だ~♪」
「おお、ありがたや♪」
「二人とも、しっかり食ったらまた出撃だいただきます」
三人は配られた弁当と飲み物を食い終える。
「うそ? ご飯食べたら無茶苦茶元気出て来た♪」
「な、何と言う事であるか!」
「ヒーロー用のブースト弁当だったか、俺も行けるぜ!」
元気を取り戻した三人は、再度ジークフリーデンとなりヒーロー達と共に空へと飛び立った。
「デカい氷の亀もどきか!」
アイスゴーレムに再び挑むヒーロー達が目にしたのは、氷で出来た巨大な亀に似た怪物であった。
血気盛んなロボットや光の巨人が全力の光線を発射するが、アイスゴーレムは甲羅で光線をはじき返した!
お返しにとアイスゴーレムが氷のブレスを噴き出して反撃して行く。
「厄介なレイドボスだな、あの亀もどき!」
バリヤーを張り味方の被害を軽減するジークフリーデンや巨人達。
「だが、甲羅の中に真っ赤な核らしき物が見えるぞ継承者よ?」
黒月が敵のコアを発見する。
「あ、無茶しちゃ駄目だよ皆!」
ジークリンデが叫ぶ、竜也達と同様にコアに気付いたヒーロー達が、ある者は炎を
ある者は雷を纏いロボットは機体を赤熱化させて突進して行った。
彼らの攻撃は通ったが、同時に甲羅の中へと閉じ込められてしまった。
「大丈夫、彼らも助けるし敵も倒せる!」
竜也が仲間達の献身で出来た敵のコアへの隙間を見つけた。
「こいつで決めるぜ、シュヴァンツ・ランツェン!」
ジークフリーデンが巨大なナイトランスを手に取り突撃する。
アイスゴーレムもブレスを吹いて近づけまいとするも、ジークフリーデンの方が
早かった。
「ドゥンケル・シュトゥルムアングリフッ!」
ジークフリーデンのランスチャージが、アイスゴーレムのコアをぶち抜くと巨大な氷の亀はその体を維持する事が出来ず激しい音を立てて木っ端微塵となった。
ジークフリーデンがアイスゴーレムを倒した事でヒーロー達も解放され、コントロールを取り戻し無事に地上へと着地した。
竜也達も地上へと戻って来る。
「ふ~っ! 本当に疲れたぜ」
「うん、ダメージは防げたけど食べ多分のカロリー使い切った」
「我ももう動けぬ、継承者が着て連れて帰ってくれ」
「ああ、俺も来てるけど頑張るよ」
こうして、竜也達はフロストン王国の攻撃を仲間達と退けられた。
だが、彼らとフロストン王国との戦いはまだ終わらない。
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