第8章
第1話 下山する。
それから半年山に籠り、カイトとベルゼスと二人と三匹で暮らして居ると、自分達の暮らすテリトリーに張った結界になんとなく人が干渉してくる時があり……。
ソロソロここを引き払うべきかと、カイトとベルゼスとで話し合い、暮らす場所を変える事にしたのだが……。
移動する場所を見つけるのに一苦労中なのだ。
取りあえず今まで暮らしていた山は、多分俺達が魔物を狩り過ぎたから、麓に住む住人達が山の異常を感じて結界を探し当てたのでは?と言う答えに行き着いた。
怪しまれたのは確かだよなぁ……。
……自重を忘れてた。
ハハまぁそうなるわな…反省。
魔物が繁殖出来ない様に、魔物を狩りまくり食糧や素材に為らないような魔物は殆んど処分したしなぁ…。
今ではこの山に出るのは、ウサギとボア位な物だろうと思うぞ。
山の麓に暮らすには安全だろうが…不振には思うわな。
つぅ事で、移動をするために家を仕舞って旅支度だが……。
ベルゼスが人慣れしてないからしなぁ~。
いきなり大きな町にも行けないか…。
さて、どうするか?
取りあえずは、溜め込んでた魔物を売りたいからリリデアに向かうか。
「カイト、お前には悪いが。リリデアに行くぞ、お前どうする?何処か別の町で、待ち合わせでもするか?」
「うん~、なんか別の町って、言ってもさっ!そこでトラブルに為りそうな予感。でも…リリデアでも同じ事に為りそうだよね?」
「なら、ここに居るか?結界は張っておくし、なんならテントだすぞ?」
「ん~それもなんか……分かった、行くよ!でも極力町は彷徨きたくないけど」
「ハハ、ギルドだけだよ。あんな町でも金はあんだろうしな、何せダンジョンのある町だしな」
そして、俺とカイトとベルゼスとで転移を使いリリデアに近い森に移動をして三人でリリデアの町に入った。
あっ、そういえばベルゼスの冒険者カード作らないとな。
「カイト、ベルゼス町に着いたぞ」
「了解、ベルゼス行こうか。あっ、兄ちゃんベルゼスの身分証は?」
「まぁ、なんとか入れるだろ?俺達の仲間だからな」
「な、なんと!我を仲間と?」
「なに?嫌なの…だったら…」
「ち、違う!違うぞ樹里殿!仲間と言って貰えるとは思って無かったのだ…我は従者に故……」
「従者って、ベルゼス…。俺達はそんなつもりないぞ?ねぇ兄ちゃんそうだよね?」
「まぁ、そうだな!神さんから預かっては居るが、んなもんは関係無いしな。さて、中に入ってギルド行くぞ」
「「おう!」」
それからリリデアの町に入る。
門でベルゼスの鑑定があったが、問題はなく通行税だけ払って町に入った。
それから、見知った町中を歩いてギルドに着くと三人で中に入った。
ギルドの中はまぁ変わらず人が疎らだ。
カウンターを見ると知らない受付女が座ってる。
空いてるのは右端か……。
俺達は構わず空いてる受付女の前に立ち声を掛けた。
「よう、ギルマス居るか?」
「はぁ?何方ですか?」
「いいからさっ、ギルマス呼んでくれない?ジュリが来たと言ってみ?」
「………は、はぁ。因みに冒険者カードは?」
「ほれ、これだ!文句あるかな?」
「し、失礼しま………ひぃ!し、少々お待ち下さい」
あららお姉さん…焦って奥に引っ込んだね。
ククク楽しい!
「兄ちゃん…性格悪!」
「ん?そんなの知ってるよ!」
「あっそ!」
「樹里殿?」
「まぁ、気にするなよ。ここは、あれでも良いんだよ。待ってろよ?」
「は、はぁ~?」
カウンターで暫く待てば、あのドタドタと走る足音が近づいて来た。
相変わらずな走り方だよ直ぐに誰だか分かる。
「じ、ジュリぃ~!!テメー」
「よう、久しぶり!元気そうで安心したぜ?ギルマス」
「ジュリ、テメーはよ!挨拶も無しに町を出て行きやがって!」
「んだよ、そんなの面倒臭せぇだろ?直ぐに戻るんだからよ。それより魔物買い取ってくれない?それとこいつの冒険者カード作ってよ」
「……面倒ってお前は、それと買取り?カード?ってか、そいつなんだ?獣人か?」
「それがなに?ギルマス偏見持ちとか言わねえだろ?ギルマスなんだから」
「ま、まぁ、そうだが」
「まぁ、いいけどな、チャッチャッと手続きしてくれれば?別に町に住み付く訳でもないしな?」
「うっ!わ、悪いな。ならカード先に作るからよ、此方に来てくれ!で、これに必要な場所に分かる範囲で書き入れてくれ」
「あそれは、俺が書くからこっち」
「なら、ほれ」
ペンと登録用紙を受け取ると必要項目に書き入れる。
といっても名前だけしか聞けないがな?
何せ神さんの眷属だからな。
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