第11話 抜け出せなかった。

 ベルゼスがやっと二足歩行に慣れた頃……。

 なんの前触れもなく俺と、ベルゼスの前に神がスッと現れた。

 来ないでくれよもう!

 それもまったり酒飲んでる時に来るなよ。


「やぁ、こんばんわ。樹里さん、それに私にも下さいよ?それと…あぁ今はベルゼスだったかな?久しぶりだねぇ~?」


 また来たよ……でもベルゼスは喜んでるね。


「こ、これは!グランバネル神様、お久しぶりでございます!」

「フフフ、久しぶりだねぇ……君とは300年ぶりくらいかな?」

「そ、そうですか?そんなに経って居りましたか?月日が過ぎるのは早いですなぁ~?」

「そうだね、私は、君に酷いことをした様だね?すまなかった。まさか人間が…嫌?獣人か…あの山に暮らすもの達が君に対しての感情が、悪い方向に向いてるとは思ってもなかったよ。……私の監視が行き届いてなかったね?」

「いえ、私は……」


 なんか俺は居なくて良い感じだ……フフフ面倒臭い話に為る前に部屋に逃げるか?


 俺はそ気配を消してそ~っとその場を離れる。

 

(よそよし……俺頑張れ!ここから逃げる!そ~っとそ~っと、よし離れた!これでワープを使って……)


「おや、樹里さん?何処へ行かれるんですか?」

「樹里殿、何処に?お出掛けなら我もご一緒しますが?」


 なに執事みたいな事を言ってるんだベルゼス! それに神……気づくな!


「い、嫌ぁ~そっちの話が盛り上がってる様だからな。俺はこれで失礼するよ。お前らは好きなだけ話しててくれ。俺は寝るからさっ!お休み」


 と、軽く受け流して逃げるように寝室に向かったのだが……何故かベルゼスに腕を捕まれた……なんで?


「ハハハ!樹里殿そんなに気を使わなくても良いですよ?グランバネル様とは、もう十分話せましたから」

「そ、そうか……」


 ちっ!もっと話してろよ。

 俺の行動に気付きやがって。


「それで、本当に何処へ?」

「どこも何も……もういい時間だからな?歯を磨いて寝るんだよ。当たり前だろ?人間なんだから。ってか、来るならちゃんと前もって連絡寄越せよ。毎回いきなり来やがって!」

「それは…そうなのですが。それをすると、貴方は何処かにいかれてしまうでしょ?」

「ったり前だろそんなの!で、今日はなにしにきたんだよ!前の島の話ならお断りだぞ!そんな場所に行くなら、ずっとここにいて暮らした方がましだからな」

「おや、そうなのですか?それならそれでも良いですかねぇ」


 はぁ?しれっといい加減な事を言いやがって。

 だったら最初からそんな話を持ち込むな!


「おや?それはすみません…。島の話は樹里さんには良いと思ったのですよ?ですが……一度その島に訪れて見ませんか?」

「なに?先の先住者にナシは付いたのよ?」

「ナシ?」

「……あ!話しだよ」

「えっ……ええ、一応?」


 付いてねぇな?これは……。


「で、でも住まなくても良い狩り場に為りますよ?」

「……狩り場ねぇ…。だが、カイトは連れてけるのかよ?」

「さぁ?カイトさんのレベルだと…少し厳しいですかね。彼はこの世界で生まれた、純粋な人間ですからね…要はほら……ねぇ」


 そこでお茶に濁すなよ!


「ねぇ……って……。だけど多少はレベル上がるんだろ?」

「そうですね…レベルはあがりますよ?特別なスキルは付きませんが。いまでも彼は、レベルアップはしてるはずです」

「ふぅ~ん。ならさっ、礼と言うならカイトにスキルを一つやってくれねぇ?」

「………それは無理ですね。お礼は貴方限定ですからね、お願いは聞けませんよ」

「ええ、そうなの?なんだ使えねぇ……」

「失礼ですねぇ?相変わらず口が悪い」

「これが地なんでね?」

「まぁ、そういう事ですよ。てすが、そうですねぇ……。彼には一つ魔法を使える様にしましょう」


 落とし処はここだろうな?と思ってるな。

 まぁ、良いけどさ。

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