第9話 藪蛇だった。

「それで?」

「それで?……あぁ、それで、ですね?あの白豹は貴方の獣魔に成りましたが……」

「なに?」

「いえ、豹が姿を変えたのはビックリでした!」

「ん?」

「私も知りませんでしたよ。フフフ」

「フフフって、なに?まったく知らなかったのかよ?」

「ええ、とっても驚いてますよ。それに……しくしく、あの山の護り神に据えたのに…。村人からは害獣扱いされていたなんて……しくしく」


 私は悲しくてショックですと今度は泣き始めた。

 なんとも浮き沈みの激しい事で……。

 この神さんの話を聞くのも疲れるんだよ…。


「俺としては、奴に聞かなくても素直にここに来てくれたから有りがたいけどな。下手に拒否られたらどうするかと考えたがな」

「フフフ…まあ、あの子は私の眷属の中でも大人しい性格ですからね」


 そうか!それなら此れからは楽か?後は常識を教えるくらいかな。


「まっ、あの場で神さん呼ぶなんてしたくは無かったから。本当に物分かりが良くて助かったが、人間の暮らしには慣れて無いだろ?有る意味此れからが大変そうだよ。神さん、それは知らなかったとは言わせないけど?どうよそこんとこ」

「う!すみません、世間知らずにさせて仕舞って。何せ、眷属が多いものであの子にまで目が……」


 行き届かないとかほざいてる……神の癖に?

 それは………怠慢にも程があるが…。


 まあ、出任せだろうなぁ~。


 全部知ってましたって顔してるし。

 上手く使われて仕舞った感じかな。


「それで、礼は?なんだっけかなぁ?」

「それですよ!お礼に、ここより南にある無人島をプレゼントします。小さな島ですが…彼処は何処の国も所有してませんから、安全に暮らせますよ。が……未開発の無人島なので、若干危険な魔物が多いです。一回で移動しない方がお勧めです。ですが、ある程度、魔物を間引きすれば安全に暮らせます。食物も豊富ですよ?まあ、貴方はネットが有りますからね?そこら辺は気にしなくても良いですね。それと……一つ注意なのですが……」

「なに?つうか、魔物って何が多いんだよ」

「そうですねぇ…主にドラゴンタイプが多いかと?蜥蜴の宝庫です」


 魔物の素材が一杯取れますよ?

 なんて気楽に言うなよ!ドラゴンが居るっう嵩でも大変そうなのに……。


「ってかさ、ドラゴンって…それこそあんたの眷属が居そうだが?」

「…………あぁ、居ます!居ましたよ……4獣が火、水、風、土、属性のドラゴンが!」


 本当に居るんだ軽くかまを掛けたんだが…藪蛇だった……。


「だったらさっ、そこに俺が行ったら駄目だろうよ!」


 テリトリーとか絶対あるじゃんかよ!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る