第8話 また来たのかよ!

 目の前のベルゼスを見て、思わず叫んでしまったが気を取り直し冷静に為って一言!


「ベルゼス!お前なにそれ…」


 しかもずいぶんと……立派なもんをぶら下げてるじゃねぇかよ。

 ……………フン!

 ま、元は魔獣だしな…悔しくないやい!


「に、兄ちゃん……ベルゼス…凄いね?」

「ん?何が」

「……い、嫌なんでもないよ……」


 カイト考えたら負けだぞ?フフフ!


「ん?なんだ……?何を……う、うぉぉ!これはなんと!人形に為っておる!」


 自分の身体をペタペタと触り、驚くのは良いが……こいつの下着と服がねぇ……。

 ネットから先ず下着を出して直ぐに渡す。


「と、取敢えず……ベルゼス!これを履け!」

「これは?」

「下着といって、足をこの穴に入れて上に引き上げてくれて!」


 何で下着の履き方の説明などせねばならんのだよ!


「こ、こうか?……な、なんか締め付けられるな?」

「そんな、感想はいい!あとほらこれを着ろよ!服だ」


 ネットから服を出してベルゼスに渡す。


「ぬ……これは?珍妙な……これをどうするのだ?」

「俺達が着てるだろ?こう着るんだよ!」

「ふむ……こ、こうか?そして………こうだな!フム出来たぞ!」


 な、なんか格好が良いじゃねぇかよ!


「よし!それじゃここを、片付けて帰るぞ?」

「了解!なら一旦外に出るから、ベルゼス!カイトと外に出ろ」

「承知したぞ!……つつな、なんだか二足歩行だと歩くのに…」


 足をとられてコケそうだと不安がる。


「カイト、ベルゼス支えてやれ!」

「うん!ベルゼス俺の肩に捕まってよ、そしたら歩きやすいだろ?」

「そ、そうか?すまんなカイト殿」

「殿は辞めてよ。カイトでいいよ。へへへ」


 それから三人でテントを出ると、テントを片付けて転移で元の山に三人?で戻った。


 ってか、ベルゼスって元の四足の魔獣に戻れるのかね?


 自分達の住む家に戻って来ると、カイトと二人で夕飯の支度をする。

 そして、三人で食事をする事になるが…。


「ムム!良い匂いが………」

「フフフ、だろ?ベルゼス!兄ちゃんの飯は旨いぞ?」

「そうなのか、なら頂くとしょうか!カイト殿。それはそうと、主の名を我は聞いておらんが?」

「ん……?ああ、そうだったか?俺の名前は樹里と言う。改めて宜しくな、ベルゼス」

「ジュリ殿か?為らば宜しく頼む」

「ほら、挨拶とかもう良いから早く食べようよ!僕腹へった!」

「そうだなら、頂きます!」

「ます!」

「……ます?」


 ベルゼスが食事の前に頂きますと、言ったのが不思議だった様だが俺達は腹ペコだ!構わず食事を始めた。


 食事が終わり今度は三人で風呂に入り、そこでも一騒動有ったがなんとか風呂に入り。


 やはり、猫科なのかな?水が苦手な様で大変だったと言っておこう。


 ふぅ~…。


 だが今度は寝る部屋の事で揉めた。

 家の中を取敢えず一部屋増やしてそこをベルゼスの部屋にと充てがったのだが…。



 部屋は要らんと抜かして、俺と一緒の部屋にと言い出した。

 俺の部屋に何でよ!

 冗談言うな!人形の男を部屋に等と言ったら、簡単に魔獣の姿に戻りやがった。


「これなら文句は無かろ?ニヤリ…」


 くッそ、ニヤリと笑いやがって!


 それなら良いかと、新しく作った部屋は消して俺の部屋を少し広くした。


 床に布団を敷くが…、硬いと抜かしやがり!

 上掛けの羽布団の上に上がり、フカフカだと喜んで眠って仕舞った。


 なんだろうかこいつは……。


 やっと落ち着いた時間に為った頃、俺は一人で晩酌中だ。

 ウイスキーのロックと、柿の種を摘まみネットから雑誌を出して、流行りの服を見ながら眠く為るまでの暇潰し中だ。


 すると……目の前のに神さんがニコニコと微笑みながら現れた。


「今晩は……樹里さん。私の眷属を保護して頂きありがとうございます!それに、美味しそうな物をお飲みですねぇ?」

「………」

「じ、樹里さん?聞いてますか?おーい樹里さん?」


 五月蝿い喧しい!俺の一人の時間を邪魔するのか?こいつは!


「嫌ですねぇ……邪魔なんてしませんよぉ~!私はお礼に来た嵩ですってば!フフフ」


 フフフって…まあ、お礼にというのは本当何だろうけど……。

 頼むから俺の思考を読むなよ……。


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