第7話 なんだそりゃ!

 子供と豹を見送った俺達は、未だテントの中にいる。外は寒いしな…取敢えずマップで豹の動きを見ながら、豹がここに戻って来るのを待っている。


「兄ちゃん?」

「なんだよ」

「何で、未だここに居るんだ?そろそろレツ達も鞄に入れて帰るんだろ?」

「ああ、そうだな先にレツ達を入れてくれてよ。ほれ鞄だ」 


 鞄を雑にポイっと投げてカイトに渡した。


「っと……」


 鞄を投げたら、受け取り損ねたらしく慌ててかばんを抱えるカイトだ。

 それが、少し可笑しくて笑ってしまった。


「ハハハ、大丈夫か?ちゃんと持てよ。レツ達の世話宜しく…カイト」

「むぅ…これは預かるけどさぁ~」


 鞄を受け取ってヒラヒラさせてまだ、なんか言いたそうだな?


「なに?」

「何で、ここに未だ居るんだよ」

「ああ、言って無かったな」

「何をさっ!」

「あの白豹だけどな」

「なに、まさか!」


 察しの良いことだな……説明が楽だけど。


「その、まさかだよ……」 

「なに……その覇気の無い言い方は?」

「ん、もうさ、毎度毎度なんかが!有りすぎて諦める事に慣れた感じがするなぁ~と……思ってな」

「ぶっ!兄ちゃん、老けるには未だ早いだろ?」

「失礼だぞぉ~カイト!」


『ベシッ』とカイトの頭を叩いた。


「っ!いってぇ!何すんだよ痛いなもぅ!」

「人を爺扱いするからだよ!まったく、生意気な!それより早くレツ達を鞄に入れろよ」

「ハイハイ!なんだよ、もう……いてぇなぁ~」


 カイトがブツブツ文句を良いながら、頭を擦りレツ達を鞄に入れる。


 その姿を見ながらマップを確認するのだが…。

 山の麓に向かった豹は未だ麓にも着いてない。


 遅くないか?


 ……ああ、魔物も出るし餓鬼も歩きか。

 なら仕方ない気長に待つか。

 それから待つこと2時間…やっと豹が俺達の元に戻って来た。


「よう!遅い戻りだったな?」

「《そう言うな、子供の世話をしながらだから遅くは為るだろ》」

「まあ、そうか?ならもうここには用はないな?」

「《ああ、ないな》」

「だったらあの鞄に入ってくれ。中にはレツ達が居るが平気か?」

「《それは構わんが……主は我に名を付けんのか?》」

「ああ、そうだったな……なにか希望はあるのか?」

「《フム……別に無いが…クレルは勘弁してくれ》」

「ん…?そうなのか?」

「ああ、別にあの子供に懐いて居た訳ではないのでな。それに、ここの事を思い出すと胸糞悪いのでな」

「そうか……なら少し待て。あっそう言えば!」

「《な、なんだ?》」

「俺の隣に居る、餓鬼!カイトと言うから宜しくな」

「《そ奴か…主らは?兄弟か……?だが…こ奴からは人の匂いしかしないが?》」

「まあ、そうだろうな?唯の人だしな?」

「《フム、まあ、我が世話に為るのだから構わないが…》」

「カイト」

「なに?さっきから一人で……。はっ!まさか兄ちゃん、白豹と話してんの?兄ちゃんしか喋って無いけど…」

「……当たりだ。カイトなんと俺様!魔獣と話せるらしいぞ?」


 そういや、レベルも上がったのか?

 良くわからん。


「す、す、すっげぇ~!流石兄ちゃんだな!んで?なんだよ」

「ああ、こいつが名前を付けて欲しいんだとさ」

「え?なんで?さっき子供が名前呼んでたよね?」

「あれは嫌なんだとさっ」

「ふぅ~ん……兄ちゃんは、なんか考えてるのか?」

「そうだなぁ…ベルゼスなんてどうだ?」

「ベルゼス?」

「《ムム!ベルゼスとは!響きが格好良いな?フム……我はそれにするぞ!》」


 ありゃ!軽く言ったのに気に入ったのか?

 ならそらそれでも良いが……。


「ならお前は、今日からベルゼスだな?宜しくな」

「《宜しく頼む。主殿……》」


 するとベルゼスの身体が光って……「兄ちゃん眩しい!」カイト煩い!だが光過ぎだ!


 暫く光り、やがて光が消える。

 すると…ベルゼスがなんと獣人の姿に変って居た。


 なんだそりゃ!


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