第6話 豹との会話。

 あ!俺ってば、神さんから何故か念話が出来る能力貰ってねぇ?

 まあ、テイムしてないから念話が通じるかは分からんが……訳くらいなら聞けるか?


 俺はとっとと帰りたいしな。


「(おい、きこえるか?そこの白豹!)」

「《…この声は…お前か?》」


 お前と言い俺の顔を見つめる白豹にそうだと答える。


「(だよ、ってかお前とは失礼だな?お前の怪我を治したのは俺だが?)」

「《それは済まぬ……。我は神の眷属……》」

「(知ってるよ、神さんにお前を探す様に言われて、ここまで来たからな)」

「《探す?何故》」

「(お前の事が探せ無くなったと言ってたが?お前なにしてたんだ?神さん泣いてたぜ?)」

「《ほう……あの方が私を心配してか?それは済まぬな、所でお主は?なんとなく我と同じ気配がするが?》」

「(気配ね……まあ、一応眷属らしいぞ?俺も)」

「《フフフ、我と仲間か?》」

「(まあ、そんなことはどうでもいい。早くそこの…確かエルスだったか?あいつと村に戻れよ。俺等もここを引き払って家に帰るからよ)」

「《いや、我はあやつとは戻らんぞ?》」

「(はぁ?なに?戻らなくてどうするんだ?)」

「《神に言われたのだろう?我を主の眷属にと?》」

「(何で分かる?)」

「《あの方の言いそうなこと故な、何となくだが?それに、我はこの山の守護している嵩では詰まらん。そろそろ我も、色々な場所に行って見たいからな》」


 何言ってんのかねこの白豹さんは……。


「(ってかさ、あの餓鬼はどうすんだよ。お前に懐いて名まで付けてるが?お前だって!怪我をしてまで餓鬼を庇ったんだろ?)」

「《まぁ、そうだな…。だが、あやつとは、幼い頃にこの山で出会って懐かれた嵩でな?別にあやつの眷属ではないな。それに、我はあやつの村には入れんよ》」

「(この山の守護神なのに?)」

「《それは…神が決めた事だ。故に我を山の神とは村の者達も思っておらんよ》」

「(……複雑だな?お前……)」

「《まあの、村の獣人は我の事も唯の魔獣だと思って居る。故にそやつと村に戻る事はないぞ?》」


 こちらの身が危ないとほざいた。

 なんか……こいつ怪我したのは村の獣人の所為か?

 だが子供は何で崖から滑り落ちてたんだ?


「(ところで、あの餓鬼は何故?崖に居たんだ?)」

「《あやつは、魔物に襲われて逃げる途中で、足を踏み外して落ちて行ったのだが……。我も魔物と対峙して居たのでな、助けてやれなかった。何せ複数で、オークとオークジェネラルに襲われてのぉ……。多分だが……その辺を探せば、倒れたオークの死体があるやも知れんぞ?》」


 お!想像と違った!なに?オークジェネラルいんの?ならうちらで狩ってもいいな?


「(ふぅ~ん。お前ら、良くそれで無事だったな?)」

「《我もそう思うが……な?》」

「(まあ、いいや。だったら四の五の言わず一旦あの餓鬼を、村の側まで付いて行ってくれよ。俺らはここで待つから、そしたらお前も一緒に来いよ)」

「《おお、良いのか?》」

「(仕方ねぇから連れて行ってやるよ、だからな?餓鬼は置いてこい)」

「《承知した!》グワァーー」


 突然豹がグワァーと鳴くと餓鬼が驚いてる。


「兄ちゃん?どうしたの……暫く白豹と見つめ合ってさっ?」

「ん?ああ、気にするな!どうやら餓鬼と一緒にここを出て行くそうだぞ?」

「え?クレル僕と帰っくれるの?なら戻ろうよ!」


 何の迷いもなく俺の言葉を信じて部屋から出て行くと言う餓鬼……変わった子供だ。


「なら出口は彼処だ!カイト、扉開けてやれ」

「う、うん。ほら君こっちだよ」

「……ほら、クレル行こう」

「ガウ!《ではの!同胞少し待て》」

「(おう、待ってるよ)」


 そうして保護した餓鬼は、結局一言も礼を言わず白豹とテントをでていった。

 良かったよ!

 取敢えず捨て子じゃ無いみたいでさ。


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