第5話 礼も言わねえ餓鬼は早々にご退場願いたい。
叫び声がテントの中に響いた。
「うわーーーー」
その声が、カイトと二人で見つめていた部屋からだったのでカイトと顔を併せて、慌てて部屋に向かって部屋の扉を開けた。
「どうした!!」
扉を乱暴に開いて、中にいる子供に声を掛けると驚いて誰だと言われたが……。
まあ、それはそうだなハハハ見知らぬ人に『どうしたと!』言いながら部屋にいきなり入って来られたらそれは驚くか?
「ひぃ!だ、誰?」
「君、目が覚めたのかい?」
「だだ、だれ?ひ、人属?」
人属……と来たか!ん~、君もハーフだろうに。
これは…どう説明するか?
するとカイトが、俺の代わりに獣人の子供に話し掛けた。
俺だと怖がらせるか?なら任せた!
「えっと~君は獣人だよね?」
「………」
「あ、あのさっ!君が崖で倒れてたから僕と兄ちゃんで君を助けたんだけど……」
「……崖?えっと……(そう言えば…山に登る途中で魔物に襲われて、足を滑らせたんだっけ)あ!そう言えばクレルは?」
流石…子供同士だな、あの餓鬼怖がらずに話をしてるし。だが………何か腑に落ちないねぇ。
あの餓鬼礼の一つ言わねえ……。
そりゃ助けたのは余計なお世話なのかも知れんがね?ありがとうの一言は言えねえの?
ああ、獣人てそういう教育はしてねぇのか!
そうか、そう思ってた方が気持ち的にスッキリするな!
よし今後獣人に会っても絶対関わらない!
と、若干性格をねじ曲げて居るとカイトと餓鬼の会話が進んでいた。
「クレル?それは…誰かな?」
「えっと……白い豹が居なかった?怪我してなかったかな?!」
「その、クレルって豹は君の獣魔なのかい?」
「うぅぅん!違うけど友達なんだ。今日も一緒に山に狩りに来てたんだけど……。魔物に追われちゃって、逃げてる途中で足を滑らせた所までは覚えてるけど」
「………豹……クレルは元気だよ。怪我はしてだけど治したから。別の部屋にいるよ」
「……え!やっぱり怪我してたの?」
「大丈夫だよ、もう治したから」
「そ、そう。お兄さん達が治してくれたの?」
「そうだよ。僕の兄が君の友達を助けたし、君を崖から引き上げたんだ」
「お兄さん?」
「そうそう、僕の後ろに立ってるだろ?」
カイトの言葉で、獣人の餓鬼が俺をチラリと見ると俺と目が合うと目を逸らされた。ふん!
「……そう」
本当に、自分が助けて貰ったと聞いたのに礼も言わねえ……。
まあ、別に構わないがな。
「カイトその餓鬼が起きたなら、あの豹と出ていって貰えよ?そんで、俺らも帰るぞ」
何が豹は眷属にだ!アホ神め!
「う、うん……でも。君もう歩けるかな?君の服は彼処においてあるけど」
「う、うんどこも痛い所は無いから……」
「そ、そう。なら、着替えたら部屋からて出来てね。僕らは向こうに居るから」
「………」
カイト、向こうに行くぞと言うとうんと答えて俺の後ろに着いて来る。
そして暫くリビング出待っていると寝室の部屋の扉が開いて獣人の餓鬼がリビングに入って来た。
「あ、あの……クレルは?」
「あぁ、彼処で遊んでるよ?声かてあげたら?」
「うん……クレル!帰るよ」
「ウガァァーー」
おや?いきなり餓鬼を威嚇したぞ。
「な、なに?帰ろうよ?村の皆が待ってるよ」
威嚇に驚いた餓鬼は、もう一度豹に声をかけたが更に威嚇されてるが……なんだ?
「ヴヴーーー」
豹が牙を剥いて餓鬼に威嚇してる…マジ?
餓鬼も豹が自分に威嚇してくるとは思ってなかったらしく若干涙目に為ってる。
なんでだ?お友達なんだろ?
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