第8話 くそ……記憶戻しやがって!
ほっ…どうやらジュリさんの記憶が戻ったみたいですね?
流石私です…フフフ!
「どうですか?ジュリさん、現状は把握してますか?」
「…………言いたくねぇなぁ……。ったく、余計な事をしやがって!あんたの眷属には、本当…同情するぜ……」
「フフフ、私はそんなに鬼ではないですよ?他の神達に比べればかなり甘いです」
「なに偉そうに言ってやがる」
「まあまあそう、怒らずに!それで先程の話です!」
「先程の話ね?なんだっけ?色々話したから忘れた!」
「また貴方は……惚けてるのですか?」
「だから知らんて、あいつは俺の手を取らなかった。それだけだぜ?今更どうすんだよ」
ったく、忘れてたのに思い出させやがってよ!
「神さん、あんた本当に俺に恨まれたいんだな?神って信仰が少なくなると、消滅するんじゃなかったか?」
「フフフ、そんなものは全く関係ないですよ?この世界は、私の信仰する人間は殆んど居ません~ねぇ~」
ホワホワと、そんなことをのんびり宣う…神さん。なにそれ?
「はぁなにそれ?俺の世界でも信仰の厚い神さんが居たぜ?」
「それは貴方の世界での事です!プン」
「膨れっ面なんてしなくても、言いと思うが?」
子供か!
「仕方ありませんよ!何せこの世界は出来立てで、まだ歴史が浅いんです!」
「歴が浅いから、信仰って大事なんじゃねぇの?」
「煩いですよ?仕方ありませんって!」
「ふぅ~ん?そうなの、で?カイトがどうしたって?前に見た時はパーティー組んでたろ?だったら、心配ねぇじゃねぇかよ?」
冒険者に成ったみたいだしな。
「まあそうなのですが……」
と言うか、なんかのほほんとしてますが……。
さっきまで、ギスギスしてたのって……やはり暗示の所為だったのでしょうねぇ……。
まあ、心に傷を受ければ誰でも人は思い出を消したくなるものなのでしょうか?
私達神は死が無いですからね……。
記憶は古ければ古い程、消去されますが……。
まあ、それでも大事な事は書き記しておきますが。
おっと脱線しましたね。
それどころではありません!
「のほほんと、してしまいましたが。カイトさんがピンチです!」
「……ピンチねぇ……?」
「そうです!パーティーメンバーに、裏切られてしまいました!今はダンジョンにアタック中で、そのダンジョンの中階層で嵌められました」
「なに?食料でも取られた?それか……魔物と対峙中でトラブル?」
「いえ、ダンジョンの中に置き去りです。どうやら……意見が割れた様ですね……」
「マジか?」
「マジです。ですから、ダンジョンから抜ける間だけでもカイトさんを、手伝う事は出来ませんか?」
「…ってかさ、なんでそんなにあの餓鬼に過保護なんだ?馬鹿じゃねぇの?」
「ば、馬鹿……樹里さん、神に向かってそれはないのでは?」
「煩いわ!人の人生狂わした奴がなにを偉そうに!」
「……それを言われると…。で、ですが後悔することに為りませんか?カイトさんを、このまま見捨てて仕舞っては?彼は…カイトさんは、あの時の事を後悔してますよ?」
「後悔ねぇ……」
そんな殊勝な魂かよあいつがさ!
樹里の中のカイトは、10才のあの糞生意気なままで止まってる。
なので、記憶を取り戻したとは言え躊躇するのだった。
「樹里さん、なにしてるのですか?座ってなど居ないで。さっ!早く向かって下さい!」
「あんた、なに焦ってるんだ?ってかさ、カイトって今何処のダンジョン潜ってんのよ?俺は知らねえぞ?」
「あ……っ!」
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