第7話 余計な事を!
なんだか飛んでも無いことを聞かされて、なんとなく笑ってしまったが……眷属だと?
「ぶっ!な、なにそれ?」
「当たり前ですよぉ~。世俗から離れて6年と少し……。これだけ世俗から離れて、仙人のような暮らしをされて居ればねぇ?」
「ねぇ?と言われても……。ってか仙人って、もっと何十年も山に籠って、修行するもんなんだろ?」
俺は修行なんてしてねぇしっ!
片手で、ちょっと出たくらい籠っただけだ!
「………それは、あぁ……地球での話しですかね?」
「そ、そうだが?」
「私の世界と、樹里さんの世界とでは決まり事が違います!そもそもあの世界の神は、怠慢で自分の 眷属等居るのかも……皆無です。それに……」
「それに?」
「いえ、何でも。コホン、それでですね…?」
「…………なに?」
「貴方に、私からの仕事の依頼です」
「…………はあ?仕事だと!」
「ええ、私の眷属に為ったからには。貴方を遊ばせておくなんて、出来ませんからね?」
「……ちょっと待て…神。いや…グランバネル神。俺はあんたの所為で、今この世界に居るんだよな?」
「えっ!えぇ………そうですね」
「俺はさっ、向こうで(地球で)家族も居て、仕事も何の不便もなく、順調に暮らしてたんだけど?それをあんたのミス1つで、ここに転生して?今こんな暮らしをしてる。その点はどう思ってんの?行くとこ行くと、トラブルに見舞われてさっ!んで、この山に籠ってんだけど?それで眷属?仕事だと!っざけんなよ!」
「そ、それは……申し訳……」
「申し訳無いと、思ってんなら今の話しは聞かなかった事にする。いいな?」
「そ、それが……そうは……」
「はぁ?転生して生まれた先が、そもそも没落貴族?それに父親が、転生者で?碌でもない父親に?男に見境の無い母親?何気に俺、転生してからの方が、地球に居た頃より俺の人生酷いんだけど?最初の約束と、全く約束が違うってなに?」
「そ、それは……私の……」
「私のなに?またミスの1つで、誤魔化すのか?それで俺が、あんたの眷属?だから言う事聞いて仕事しろ?あんた………巫山戯るのも大概にしろよ?」
「お、仰るお通りで、ですが。貴方の希望は叶えましたよ?私は」
「なに、偉そうに!人の人生壊した奴が開き直って!ムカつく!顔もみたくない帰れ!」
「いいえ、帰りませんよ?なら、単刀直入に言いますよ?カイトさんが貴方の事を探してます」
「…………またカイトって餓鬼の話しか?あんた何がしたい?カイトって言う餓鬼は、あんたが庇護でもしてるのか?なら、あんたが面倒見ればいいだろ?それに俺が見た時にはもう、成人してたみたいだが?」
「私は、庇護などしてませんよ?そうそう手は出せませんしね?」
「だったらなに?なんでいちいち、そのカイトって餓鬼の事を俺に言ってくる?バカなのか?餓鬼なんざ、放っておいても人は生て行けんだろ?危ねえ橋でも渡らない限りはな!放っておけよ。俺に関係ない!」
「貴方……自分にどんな、暗示魔法を掛けたのですか?」
オリジナルの魔法でしょうから。
私では想像がつかないのですが……
「そんなもん、自分で掛ける訳ないだろ?俺は最初から独りで旅をしてたろ?なんで、そんなこと言ってくる?あんた一体何がしたいんだ?」
「私は、私の所為で死なせてしまった。だから貴方が幸せに…」
「だったらもう、干渉してくんなよ!迷惑って言葉知らんのかよ」
「知ってますよ!だけれど、この生活は貴方になにも幸せをもたらしませんよ?」
「幸せって、人によって価値が違うだろ?神さんが決める事でもねぇだろ?」
あー段々うざく為って来た!
「そう……ですか。でしたらこちらも強制的に。貴方が自分に掛けた、暗示魔法を解かせて頂きます!」
「なっ!なに訳の分からない!おい!やめ…」
これで少しは話に為れば良いのですが……。
【…解除魔法……メモリーロック…リセット】(安直過ぎましたかね?これは…恥ずかしい……)
すると…ジュリの身体から。銀色に光る粒子が浮き上がるとパッと光が消えた。
(おや、おや…そのままを言ったら、解除出来てしまいましたね…?流石私!フフフ)
「……ジュリさん、ごきげんよう?記憶が戻りましたか?」
「…………………」
ジュリは、銀の光が消えたとたんに頭を抱えて黙り込んだ。
「ジュリさんぁ~ん、分かりますか?」
「つつっっ……。神さん……あんた…余計な事を、し腐りやがったなぁ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます