第3話 なに、慌ててんの?
それからまた数ヵ月経った頃に、なぜか偶にフラッとやってくるグランバネルが、慌てた様子で俺の所にやって来た。
「た、大変です!ジュリさん!」
リビングのテレビで、映画観賞していたジュリにグランバネルが邪魔をしてきた。
「なんだよ煩いな、突然現れてなに?大変て」
「なにを呑気に……」
「呑気にって、俗世に関わらない俺に。呑気も何も無いだろ?」
神の癖に何、言ってんのかね?
「大変なのですよ!」
「だからなにが?ってか関係なくない?」
「関係は無くはないから、ここに来てますが?」
なに訳の分からんことを言ってる?
「関係って……俺は誰にも関わってないだろ?なに言ってんの全く。俺は映画観てんの!邪魔しないでくれよ!これから盛り上がって、良いところだったのに!」
「呑気なのは良いですが、少しは……!」
「だからさっ、なに?少しって、なに?」
「では、一応伝えますよ!」
「伝えんでいい!聞きたくない!どうせ親父だろ?また」
「違いますよ!」
「なら?あ、母さんか?なにあの女、金にでも困った?ハハハ笑える!絶対助けてやらねぇ!」
「それは、とっくに困り果てているみたいですが……?」
「知らんよ!縁切ったのはあちらさんだ!」
親父も、お袋もな!
「違いますよ!カイトさんです!」
「………誰さそれ?知らんよ、そんな奴。なに言ってんの神さん?他人の事なんざ知らんわ!」
んなもん知り合いに居たか?
「貴方まさか……知らないと?」
「おう、誰よそれ?知らない人の事まで、大変だとか俺に言ってくんなよ!迷惑。神さんそれだけなら、とっとと帰って?俺は映画の続きだ!」
テレビ画面に体を向き直して、文句を言うジュリである。
「もう!話が進んでるじゃんかよ!」
と、言って記憶のある場面まで戻して、映画を見出すのだった。
グランバネルは不思議に思う。
なぜジュリにカイトの記憶がないのか?
別段ジュリさんは、と惚けてる訳では無さそうですね?
だけれど…カイトさんの事を知らないと仰る。
なぜでしょうか?
……神が考え思い付いた答えは……。
まさかジュリさん、貴方自分に暗示もしくは記憶削除の魔法を掛けた?
記憶の改竄でしょうか?
ジュリさん貴方、そんなにカイトさんの事が…人が信じられなく為っていましたか。
これは重症です。
さて、困りました……。
カイトさんは今魔物に囲まれてピンチです。
誰かが助けないと……。
神の私は手助けが出来ません。
眷属達は今出払っていて一人も居ないのです。
頼りはジュリさんだけなのですが。
まさか私の知らない内に、自分の記憶を操作していたとは……計算外でした。
仕方ありません、ここは私は干渉させ貰います!
ジュリさんに、装備をさせて魔法でカイトさんが居る場所迄強制移動させます!
ジュリさんを送る場所は、カイトさんが襲われてる場所から3m離れた場所へ転送!
グランバネルは、そうしてカイトの襲われている場所へジュリを無理やり送ったのだった。
「は?な、な、なにぃ?これなんだよ!くっそ神なにしゃがる!」
突然ジュリが座るソファーが消える穴に落ちた感覚がする。ジュリは落ちると叫びから転送されて行った。
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