第15話 カイトとフェルト。 2
泣くカイトを抱き締めて、泣き止むのを待ってからカイトに話し掛ける。
「ねぇ。カイトここは寒いし寂しいでしょ?うちにおいで。リリエラも居るしアルガスだって、カイトを気に入ってるわよ?マイクは……放って置いていいけどね?フフフ」
「ハハ、なにそれ……マイク可哀想じゃん。おばちゃん冷たいね?」
「そう?私は優しいでしょ?カイト」
「分からないな……」
「そう?なら、一緒に暮らして分からせて挙げるわ?私が優しいってね?フフフ。それに、ジュリからも頼まれたのよ」
「ふぅ~ん」
「あら、ジュリに頼まれたからカイトと、一緒に暮らす訳では無いわよ?」
「じゃあなに?僕が捨てられた子供がだから?」
「なに言ってんのよ、あんたがジュリを、捨てたんじゃないの?ジュリの、言葉を無視してカイトは自分の思い通りに、したんでしょ?」
「…………なにそれ?僕が兄ちゃんを捨てた?」
「だってカイトは、ジュリが差し出した手を、その手を取らなかったんしょ?なら、捨てたのと同じよ?カイトの意思で判断したんだから」
「え?違うよ!僕は……兄ちゃんより弱くてだから」
「だからなに?」
「僕が、兄ちゃんの側に居られなくて……」
これは……疎外感かしらね?いえ違うわね。
ジュリの、強さに自分が追い付かないジレンマかしらね?
子供の癖に力に嫉妬してどうすのよ。
生意気ね本当にこの子達は。
「だからなに?それにカイトはもう、捨て子ではないわね?ジュリの方が捨て子よね?カイトって酷いわねぇ~?子供なのに大人を捨てるなんて?それも一番良くしてくれた、他人を捨てるのね?」
「…………………」
「カイトを、一番に考えて。あんたの好きなようにさせてたでしょ?よく考えて見なさいな?」
「だって、それは」
「それはなにかしら?聞かせてくれないかな?だって、ジュリは16才であんたを拾ってるのよ?……世間では16才は、成人だけどね?でも、私達からすれば十分子供よ。それなのに、幼いあんたを拾った責任があるからと言って、あんたを育てる為にお金を稼いでたのでしょ?それはまぁ~、色々規格外な子だったから、回りは随分驚いたけれど。でも、それはあんたを、食べさせる為にしてた事よね?それはどう思ってるの?カイトの言う他人が、一生懸命にお金を稼いだのよ?それはどう思ってるの?」
「それは感謝してるけど……」
「けどなに?カイトはさっ、自分はジュリの側に居られないから、離れたとか?言ったけど……それはジュリに、失礼よね?」
「…………」
「反抗して色々ジュリを傷つけて、謝りもしないで?育て貰った恩を仇で返したのよ?カイトは言ってる意味分かる?難しい言葉を、話してるんだから分かるわよね?」
「子供だから、捨てられたからなに?一生懸命に、育ててくれた人が居たのに。それがわからなかった?感謝もせずに、僕が離れないと?笑わせないで?苦労して二年以上、面倒をみてくれたジュリに失礼よ」
「じゃあ僕は、どうすれば良かったのフェルトおばさん。だって、兄ちゃんに追い付かないんだ!魔物も倒せないし!」
「バカね?カイトは未だ子供なのよ?追い付ける訳がないでしょ?ジュリとの、年の差を考えてご覧なさいな?」
「だって……」
「はぁ~もう、しようがないわね?でも、もう取り返しも付かないわよ?だからあんたはこの町で、ちゃんと頑張りなさいな。そうすれば、ジュリとの差も少しは縮まるかもね?」
「無理だよあの人、尋常じゃないもん。誰も勝てる人なんて居ないよ」
「……そんなにすごいの?ジュリって?」
「そうだよ凄いんだ……」
その一言だけを言うと、カイトは膝を抱えて蹲ってしまった。
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