第9話 ギルマスの奥さん。

 ギルマスの家に着くと扉をノックする。


『トントントン』


 扉を叩けばすぐに、扉の向こうから返事が返って来て扉が開く。


「はい!何方かしら?」

「やぁ、久しぶりです。お元気そうですね?」

「あ、あら、ジュリじゃない!元気なの?なんで早く顔を出さないのよ!全く冷たいわね。ほら、中に入って!アルガス!リリエラ!ジュリが来たわよ!さぁ、ジュリ入りなさいな」

「な、ならお邪魔するよ」


 相変わらずだね?フェルトさん。

 そして、家の中に通されて座る様に言われてソファーに据わると、左右にここの家の子供達に挟まれる。

 なんでかな?


「あ、あの…フ、フェルトさん?」

「なに?ジュリ!」

「こ、これ……。カイトが、此方で迷惑掛けたそうだからお詫び……」


 そういって、菓子を入れた袋を出した。

 箱はヤバイからさ。


「なに?お土産じゃなくてお詫びなの?」

「あ、あぁ急に戻る事に為ったから、お土産は用意してなくて…」

「あ、あら、そうなの?でも、これもおいしそうね?なにこれ?」 


 袋の中身を除いてそんなことを聞いてくる。

雑だね。


「えっと…甘いお菓子だよ。食べてみてよ?」

「そう、なら、後で頂くわね?ありがとう。ジュリ」

「ええ、お母さん今食べようよ!美味そうだったよ?」

「これ!リリエラ!はしたない!」

「ハハハ、リリエラは、相変わらずだね?元気だったかい?」

「ええ、変わりはないわよ!ジュリ兄様。お帰りなさい!ずっと町に居るの?」

「さ、さぁどうかな?」

「なにそれ!」

「ジュリ兄!俺も居るんだけど?」

「あぁ、アルガス。お前も元気そうだね?剣の腕は上がったかい?」

「ジュリが出ていってから、未だ半年しか経って無いよ!そんなに早く上達なんてしないよ!」

「そうか?カイトは腕が上がってるぞ?」

「それは……ジュリ兄が稽古を付けてんだろ?」

「まぁ、そうだね」

「なら当たり前じゃないか」

「フフフそう、怒るなよ!で、話は変わるだけど……フェルトさん。カイトが迷惑掛けたみたいで、すみません」


 と、頭を下げる。


「全く……ジュリが謝らなくても良いわよ!」

「そうそう!あれは完全にマイクが悪いもん」

「そうなの?リリエラ」

「そうよ!マイクったらカイトに、お母さんの自慢話しばかりするのよ?」

「そう、最初カイトは、マイクを全然相手にしてなくて。でもマイクが、あんまりしつこくするから…。カイトが切れちゃってね?」

「あぁ、手が出たの?」

「いや、先に手を出したのもマイクだよ!」

「そ、そう……」

「そうよ、だからジュリが謝らなくても良いのよ。それにこんな手土産もね?」

「ま、まぁ、それは、お土産だと思って受けとってよ」


 そうか……取り敢えずカイトは耐えたか。

 なら、部屋で泣いてるかな?



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