第8話 兄ちゃん止めて良いか?

狩ってきた魔物を奥の倉庫に出すために、解体屋のハンズさんを呼び出す。


「おーいハンズさん?魔物を要らないかぁ~?」

「お!魔物!誰だ……勝手に……。なんだ、ジュリじゃねぇかよ!帰って来たとは聞いたが、本当に帰ってたんだな。聞いたぜ?カイトが大変何だって?」

「ハンズさん……そんなこと迄聞いてるのかよ。そうなんだよ。俺は苦労してんだよ!てか、魔物出して置くから勝手に査定してよ?それとボアとオークを狩ったんだ、肉にしておいて?」

「了解!魔石はどうする?」

「半分買い取ってくれ。オークは三体分の肉体だけで他は買ってよ。あとは、雑魚のゴブだから……適当に頼む」 

「了解した!んで、このあとは?」 

「ギルマスに詫び入れてくるよ、カイトが暴れたそうだからな」

「ハハハ、兄ちゃんも大変だ」

「全くだよ。金と肉は明日の方が良いのか?」

「あぁ、そうだなそうしてくれよ」

「了解なら、明日顔出すよ」


 ハンズに解体と査定を頼んで、倉庫をでるとギルマスの居る執務室の扉をノックする。


「トントン!」と乾いた音が廊下に響く。

 すると、部屋の中からギルマスの返事が返ってくる。


「ん?誰だ!」

「ギルマス!俺」

「おう、入れよ!」

「失礼するよ、ギルマス!」


 断って扉を開けるとギルマス……なんか疲れてねぇか?


「ジュリ……まぁ、座れや」

「お、おう?ギルマス、にゃんこに聞いたけど…暴れたんだって?」

「……ああ、聞いたか?そう派手にな?」

「何処で?」

「家でだよ、一番下の餓鬼と喧嘩に為ったらしい」

「一番下って……確か。マイクだっけ?」

「そう、マイクだ!あいつカイトに、要らんことを吹き込んだらしくてな?カイトが怒って取っ組み合いだ!参ったよ……」

「要らんことをってなに?」

「さあ、詳しくは?多分捨て子だの何だのだろうよ!思春期同士が要らんことをったく!」


 アハハそれは、参ったね。


「そうか、それは困ったね。さて、どうするかな……なら、ギルマスの家も駄目か……」

「おう、フェルトがカンカンでな?マイクは倉庫に軟禁中!カイトお前らが使ってた部屋に、閉じ込めてある」

「ククク。そうか?マイクの怪我は?」

「まぁ、青短くらいなもんだよ!カイトは流石だな無傷!痣もねえよ……」

「そう、あいつ鍛えてるからね」

「全く、うちの餓鬼が敵わないんだぜ?マイクは悪餓鬼だからな、心が折れたぜ?あれは…まぁ、良いお灸に為ったがな」


 はぁ………。


「わかった!取り敢えず、フェルトさんに謝って来るよ……挨拶も未だだったしね」

「そうか?なら顔だしてくれ。俺は未だ仕事が残ってるからな」

「了解。なら、少しお邪魔するな?」

「おう、お前が顔を出すと上の二人が喜ぶよ」


 そして、ギルドの近くに建つギルマスの家に、菓子を持って詫びに向かう。


 はぁ~カイト……兄ちゃん止めて良いかな?

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