第3話 手に負えない。戻るか………

 それから、カイトの機嫌が日を重ねる毎に酷くなる……。

 多分…ストレスなのかな?

 反抗期真っ只中ですね……。

 ってか、巫山戯てる場合ではないな。

 子供は分からん。


 と言うことで話し合いです。


「カイト……」

「なに?」

「お前さっ、何か気に入らないことがあるの?」

「別に?」


 ブチ!


「……別になんだな?」


 ブチブチ!


「なんだよ、煩いな!」


 な、殴りてぇ血管切れる音が…。

 ……これはお手上げだ!暫く俺と離れて暮らすか?


「お前暫く前の町の、ギルマス達に世話に為ってるか?」

「なんだよ、それ!」

「だって、あれだろお前?俺と居るのムカつくんだろ?なら、一人で暮らせよ。あのギルマスなら、お前の面倒見てくれるだろうし?受付のお姉さん達もいるしな」

「…………チッ!」


 こいつ舌打ちしやがって!俺が怒りてぇ……。


「ほら、今からお前を、送ってくから。こっち来いよ戻るぞ!」

「やだよ!なんでそんな事言うんだよ!」

「だって、お前……事有る毎に、突っ掛かって来るだろ?それに不貞腐れられて、機嫌が悪いんじゃ俺も困る。俺と居たくないから、反抗するんだろ?だったら、町に戻ってくれよ。俺は疲れた」

「なんだよ、それ!疲れた?僕だって疲れたよ!毎日毎日!野宿で、町に行けばトラブルばっかしじゃんか!」

「……なら、決まりだよカイト。町に戻って、ギルマスの世話に為れよ。ほら、行くぞ!《スリーブ》」


 ガクリとカイトが崩れて床に落ちる寸前で、受け止め抱き抱えた。

 カイトを眠らせて抱えると、レツとレオを、鞄に入れる。

 そして、キャンピングカーを仕舞い空に上がり、少し前に出た町に向かって飛ぶ。


 暫く飛ぶと、懐かしい風景が眼下に広がって来たので門番に見つからない様に、距離を取り下に下りた。

 そして、眠るカイトを抱え直して町の門を潜る。


「よ、よう!ジュリじゃねえか!どうしたよ!」

「やぁ、マルロさん。お久しぶり?元気だったかい?」

「あぁ?久しぶりって程、日は経ってないぞ?」

「そう?」

「で、抱えてるのは、カイトか?」

「そう、寝ちまってね?」

「そうか?ならギルドに行くのか?」

「あぁ、また世話に為ろうかな?って思ってさっ!」

「ハハハ、そりゃ良いねぇ?また、英雄がこの町に帰って来たか?」

「……どうだろうね?おっと、後ろ詰まるか?はい金!」

「おう、そうか?よく戻って来たな!ようこそ、我が町リリデアへ!」

「ハハハ。ありがとう。またあとでな?」


 それだけ言ってギルドを目指し、ギルドの中に入り受付のにゃんこに声をかけた。


「久しぶり!元気かよ」

「……………にゃージュリにゃん!だぁー」

「う、煩いな……ギルマス呼んでよ!にゃんこ!」

「ちょっと!待ってろにゃー呼んでくるにゃん」

「ふぅ、あいつ煩せぇ……」

「あら、誰かと思えば……ジュリじゃない!もう、戻ったの?」

「……嫌…どうだろうな?」

「あら、また秘密なの?」

「そう、秘密だぜ?姉さん!仕事頑張れよぉ……」

「もう!あんたは冷たいんだから!」


「フフフそうか?」


 別にあんただけじゃないから……。


 暫く待つと、にゃんこがギルマスを連れて戻って来た。



「よう!ギルマス!元気?」

「お前……ってか、カイトどうしたよ!それ」

「あぁ、煩せぇから寝せてきた。ギルマス少し相談……!」

「お、おう。なら、上に来いよ」

「サンキュー!んで、カイト寝かせときたいんだけど?」

「それなら、にゃんが預かるにゃ!」

「そう?なら、よっと……。にゃんこ頼むな?」

「ほいよ!任せるにゃん!」


 獣人だからカイトくらいは、女でも楽勝に持てるのな…流石だよね。


「ほら、来いよジュリ!」

「おう!今行く」


 呼ばれてギルマスの執務室に入り、ソファーに座るとギルマスと話しをする。


「で、どうしたよ?半年も。ふらついて戻って来やかって!」

「……未だ、半年だよ」

「バッカ!そんなにだよ!で、カイトはなんで寝てんだ?」

「あぁ、実はな…カイトが反抗期?を迎えたらしくてさ。多分思春期ってやつ?んでさっ、連れ歩くのが少しな」

「なんだよ、そんなことか?」

「嫌さ、毎日面合わせて暮らしてるとな?イライラするのは、仕方ないんだけどさっ!流石に毎日不貞腐れてて、こっちが話し掛けても返事がなぁ……。『別に?』とか、『ふん!』とか?しか言わなくなると……ここに来る」


 トントンと、自分の胸を指で叩いた。


 餓鬼の反抗期って……てか、10才でああもてこずるんだな?

 知らなかったよ。

 弟妹達とは、一切話しをしなかったからな?




 あ!あいつらは元から性格悪かったか…。


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