第11話 貸家の家賃が依頼の報酬より高いって……

「なぁ、それはシーサーペントが出てるからなのか?」

「まぁ、それもあるがな……。町の町長が何もしねぇ無能だからだな」


 それで良いのか?

 この世界の町長なら貴族かその一族だろ?

 確か………あれ?違ったか…忘れた。

 まっ、無問題!


「へぇ……なら、税が高いのか?」

「いや、そうでもねぇな」

「なにそれ」

「さぁ?俺に訊かれても分からんよ。何せ代が変わってから、町長が町に顔を出すことは無いからな」

「えっ、視察とかは?」

「ねぇなぁ~。屋敷に出向けば、顔を見て話せるがな」

「く、屑じゃんか。警備は?」

「居るには居るぞ、門番が居たろ?」

「あ、居たな。なんか怪しまれたけど」

「そりゃ~子連れで、こんな町に来れば怪しいわな。……まっ、こんな町だよ。で、話しは戻るがよ。何なら、その家を貸してやっても良いぜ?」

「ほう……貸家にしてくれるのか?」

「あぁ、永住する気になったら買い取ってくれても良いぞ?こっちは助かるからな。だがなぁ、俺が忘れてたぐらいの家だ…期待はするなよ?」

「へっ?どういう」

「管理されてないからと、言ったが…俺は?」


 あぁ、外観と中身がボロボロと言う事ね……。


「なら、俺が建て替えて良いのか?」

「まぁ、良いぜ出来るならな。何でもして良いぜ?」

「ほぅ……なら、借りるかな?月々の家賃は?」

「家賃は……そうだな広いんだよなぁ……」

「てか、広いって?」

「結構デカイ屋敷でな、町長の屋敷程はデカくはないが…。まぁそれなりの屋敷だな」


 なんだその説明は?さっぱりわからん。

 あ!こう言う時はマップだよ!確認っと………。

 丘って言ってたな……ん~ここかな?

 なんとか分かったけど……地図上だからな。

 広いのは分かった気がする。

 仕方ないここ借りるかな?


「で、家賃は?」

「屋敷がボロいから、直す場所も多い。だからそうだな……金貨1枚と大銀貨2枚でどうよ」


 シーサーペントの討伐の報酬より高い。


「分かったならはい、金貨一枚と大銀貨2枚だ!」

「おう、確かに。これに一応サインしてくれるか?」

「お、おう」


 渡された書類に目を通す。

 何々……なんだ…屋敷を借りる誓約書だけど…中身 がうすっい。

 良いのかこんな契約で?

 毎月の家賃は必ず支払う事。

 まぁ、当たり前だよね?

 それから……?

 ………支払えなくなったら、即退去……これは厳しいな?

 有無を言わせず追い出すのか……。

 まっ、払えなく成る事は無いから良いけどね。

 と、これだけだよ良いのかね?こんなもんで。

かきかきと、サインをしてギルマスに書類を返す。

「はい!これ」

「お、書けたか?なら、これが屋敷の鍵だ」

「じゃあ、後で屋敷の場所教えてよ」

「なら今から行くか?魔物の討伐なんて、いつでも出来るからな。今日はギルドは閉店だな。ワハハハ!」


 笑うギルマスをガン無視して、カイトが俺のジャケットの裾を引く。


「ね、ねぇ兄ちゃん?そんなに簡単に決めていいの?」

「いいんだよどうせ宿屋には、行きたくないし。カイトも嫌だろ?だったら貸家の方が楽だぞ?」

「分かった、兄ちゃん。でも抱っこ!」

「はっ?なにそれ歩けよ、途中迄でもいいからさ」

「えぇー」

「歩け!」


 ごちゃごちゃと、カイトと騒いでるとギルマスがクチを挟んでくる。


「なんだ、坊っちゃん甘えん坊か?ハハハ。こりゃ兄ちゃんは、大変だ!」

「ハハハ。そうなんですよ」

「むぅ……歩くよ!」


 フフフ。膨れっ面で歩くと言うカイト……。

 ギルマス、ナイスアシストだよ。


「ならすまないけど、案内頼みますよ」

「おう、任せとけ!だったら馬車に乗ってくれ。今、裏から出してくるからよ!ここで待ってろ」

「へっ、馬車?嫌だぁ~!」


 カイトは歩く気満々だったのに、苦手な馬車に乗れと言われて絶叫する。ハハハ。笑える!

 そして、馬車が来る僅かな間にカイトに酔い止めの薬を飲ませる。


「ほらカイト、クスリ飲んどけ」

「うん。水頂戴兄ちゃん」

「待ってろ」


 鞄から水と薬を渡して飲ませた。


「ありがとう。ング…グ……ゴク…ふぅ…。てか、馬車は嫌だよ兄ちゃん」


 薬を飲み我が儘を言うカイトだ……そろそろ馬車に慣れてくれ。


「仕方ないだろ?まっ、そんなに長い距離を乗ってないと思うぞ?せいぜい5分10分だろうぞ?地図で確認したら」

「そうなの?」

「あぁ」

「仕方ないなぁ……なら我慢する」

「そうしてください。我が儘王子?」

「なにそれ!もう!兄ちゃん感じ悪い」

「フフフそんなことはないだろ?それはカイトには優しいつもりだが?」

「………………フン」


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