第4話 強引過ぎる

カイトの腕を引いてエントランスを出ようと、足を一歩出すとハングが焦って、奥さんに俺達を紹介し始める。


「待てって!リターナ。こいつらは、ジュリとカイトと言ってな?俺が王都に帰って来る途中、魔物に襲われていたのを助けてくれたんだ」


「………まぁ~そうなの?ハング!そう言うことは先に言って頂戴な、命の恩人じゃないの!ご免なさいね?失礼な態度を取って仕舞って?」

「……い、いえ別に俺らは慣れてるから。じゃぁ、ハングさんこれでお別れするよ!馬車に乗せて貰ってありがとう」

「ハングさんありがとう。またね?バイバイ」

「ま、待って待って!どうしてお前らそんなに離れたがる?」

「嫌……だってなぁ~?」

「そ、そうよ!ご免なさいね。主人の命の恩人に冷たい態度を取ったのは謝るわ。どうぞ屋敷に入って頂戴な、お夕飯の準備をさせるから娘達も喜ぶわね?キルリス!」

「え?ええ、そうですね。父上の命の恩人なら……」


 ほら、子供達も動揺してるから!聞くなよって顔してるから空気読もうよ?


 嫌がる俺達をハングに、腕を引かれて屋敷に入り今はリビングで、ハング一家とご対面だ。


「はじめまして、おれ、いや……私はジュリ、サクマと申します。こっちらは弟のカイトです」

「はじめまして。ぼくはカイトと言います。宜しくお願いします」


 お、カイト偉い!ですます言えたね。


「まぁまぁ、ちゃんと御挨拶出きるのね?さっきはごめんなさいね?私、勘違いしてしまったのよ」

「はぁ、勘違いですか?(ちょっとムカ!)」

「ええ、またハングが使用人を連れて、戻ったと思ったのよ。まさか、貴方が冒険者だとは思わなかったわ。主人がお世話に成ったそうね、ありがとう。さあ、子供達を紹介するわ」


 お喋り好きの弾丸かーちゃんだな。すっげぇ~。


「お、おいお前!」

「あら、なにかしら貴方?」

「ジュリ坊達が、困ってるぞ。もう少し、ゆっくり喋ってくれよ」

「そうよ!お母様。私達が口を挟む隙がないわよ!あ、あら、ごめんなさいね。私は長女のバルディアと言います。宜しく。お父様達を助けて頂き、ありがとうございます」

「私は、次女のマリベルと言うわ。よろしくね?父を助けてくれてありがとう」

「俺は、長男のキリルスだ。宜しく。それと父を助けて貰ってありがとう」


「い、いえ。偶々私達が向かう方向に、争ってるのが見えただけです。お気に為さらず」


 全くこの母親と子供達の態度………なんか引っ掛かる。


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