第5話 徒歩で戻る

「それにしても貴方、随分と喋り方が綺麗なのね?名持ちの様ですし、何処かの国の貴族の方なの?(そんなわけないわよね?子連れだし)」


 ん~ここは、言っても……と言うか言った方が良いかな?その方が今後この奥さん、俺らを馬鹿にしないのかな。多分そんな気がする。

 平民で孤児なんて言ったら態度が更に悪化しそうだ。


「ええ、両親は貴族ですよ。まぁ、男爵家なんてたいした事がないので、自慢にもなりませんが?親が貴族なだけですよ?」


 にこりと笑ってハンクの、奥さんに笑い掛けた。


「ひぃ!こ、これはふ、不敬な事を先程から致しまして。も、申し訳御座いません。私の無礼な態度……どうぞお許し下さい!娘に息子共々申し訳………」


 ソファーからずり落ちて、土下座をする三人。

 ハングのおっさんを見ると、白目向いて気絶してる。なんで?

 丁度良いかな?さっきからあんまり態度が変わらないからさ。少しお灸かな?

 まっ俺ごときが、こおがましいけどね?

 たがが男爵だし。


「ハハハ。まぁ、冒険者なのは変わらないですし、他国の貴族ですからね?咎は、ないですが……余り人を見た目で、見下さない方が懸命なのでは?ましてや、ご商売をなさってるのに」

「は、はい!申し訳御座いませんでした」

「それでは、私達はここで失礼しますね?どうやら私達は、歓迎されてない様ですし?これ以上嫌な思いもしませんから」

「ま、待って下さいな!どうぞ此方で滞在なさって。ね?あ、そうだわ美味しいお茶に、お菓子があるのよ!ね」

「ですが……我々も暇では無いのですよ。これからギルドにも、行かないといけまさんから。さっカイト行くぞ?ハングさんにお礼は……」


 顔を向けると未だ気絶してる……ハハハ。


「あ、貴方!起きて頂戴な!」

「ああ、そのままで良いですよ?お疲れのようだ。では、私達はこれで」


 ソファーから立ち上がって、部屋を出てエントランスに向かう。


 そして、屋敷を後にするのだった。


「はぁ、疲れた。カイト大丈夫だったか?」

「うん!大丈夫だよ!ハングおじさん好い人だったのに……ね?」

「まぁそうだな……人は良いがな。まっ、良いんじゃないのか?暫く王都には滞在するからな。運が良ければ顔を会わす事もあるだろうよ」

「ふぅ~ん」

「なに?カイトどうした?」

「泊まるのどうするのかなと思ってさっ?」

「ああ、それなぁ……ギルドで聞いてみるよ?もしかして、部屋を借りれるかも知れねぇ~だろ?」

「ああ、そうだね?だけど良いギルドだといいね?」

「それは俺もそう思ってるよ」


 カイトと、二人で馬車で20分掛かった道を歩く。

 何とも面倒だ。

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