第3章 

第1話 ミッドランド王都……にて

それからジュリ達は、アスガルドから移動して無事に目的地の王都に着いた。

 場所はメルドラン王国の王都ミッドランドの門の前だ。

 若干……おまけを付けてだが……。


「はぁ無事に着いた……カイト、ご苦労さん」

「本当に苦労したよね?あんなことになるとは、思わなかったもん」

「良いだろ?無事に着いたんだからさっ!ほら、ハングさん達に挨拶だ!」

「うん」


 町の門に着いたので、一旦馬車を止めて貰って馬車を降りる。

 そして、御者台に乗るハングに話し掛ける。


「ハングさん、ここ迄有り難う御座いました!」

「お、カイト坊。こちらこそ……助かったよ!無事に積み荷も運べたからな」

「フフフ。良い護衛だったよな?坊」

「……むぅ…。そりゃ、兄ちゃんの方が役にはたったろうさっ!ふん!(どうせ僕は馬車に酔っちゃって、使えませんでしたよ!だって馬車揺れるんだもん)」

「まぁ、そう不貞腐れるなよ?カイトお前も役に立ったぞ!現に俺達は助かった」

「そ、そう?それなら良かったよ!へへへ」


 半笑いで頭を掻くカイトだ。


「それより坊達は、これからどうするんだい?」

「ん~未だ決まってないよ。一応ギルドに行ってからだな」


 また、素材が売れそうだしな。


「そうか?」

「ああ」

「兄ちゃんそうなの?」

「だぞ……なにかあるのか?」

「先に宿屋で休みたい」

「……そうか……疲れたか?」

「うん。少しね(レツも休ませたいよ?)」

「(おっと、そうだったなぁ……)なあ、ハングのおっさん!」

「なんだ?ジュリ坊」

「良い宿屋って王都にあるか?」

「無くはないと思うぞ。唯なぁ~王都はしばらくすると、祭りになる。だから何処の宿屋も、満室だと思うぞ」

「そうか……ならどうするか……」


 なら安宿探して……。

 でも安い宿屋は怖いし……と悩んで居るとハングから嬉しい申し出が有った。


「ジュリ坊!なら家に来いよ。部屋ならあるぞ」

「ええ!それは悪いよ。馬車にも乗せてもらったのに。俺らは、最悪外で野宿でも良いしな。なぁカイト?」

「うん!変な宿屋に泊まるよりは、その方がいいし……悪いもん」

「まぁまぁ、二人ともそう深く考えるな!遠慮は要らん!二人とも来いよ。さぁもう一度馬車に乗ると良い。門をくぐったらすぐに着く」

「だがなぁ……良いのかい?俺達素性も知れないのに」

「馬鹿言えよ。お前らとは、もう二週間も旅してたんだぞ!」

「たかが、二週間だと思うけど?」

「全くジュリお前……冷たいねぇ~!そんなんじゃ、女もできねぇよ?もう少し人の心ってもんを読めよ!」

「アハハ!なに、言ってんの?ハングさん。俺は家もない流れの冒険者だよ?カイトも居るしね?出会う場も無いよ。今は要らねえなぁ」


 唯でさえ子供と動物抱えてるんだ、それプラスαなんて……ゾッとする。腕が立てば別だがな。


 別に差別ではない。余裕がないだけだ!

 俺だって彼女とかは欲しいんだ!

 あのくそ母親が再婚しなけりゃ、俺だって落ちぶれとはいえ男爵家の息子だ、同じ貴族のご令嬢と出会いがあったかも知れないのに……。

 全部親父と母親の所為だくそ!

 腹立つ。


「まぁ、その内落ち着ける場所探せよ?カイトにも、そろそろ安定した生活送らせてやれや」


 馬車を走らせながら、ハングにプチ説教を言われるジュリだ。ん~何だか親父癖ぇなぁ~。


「まぁ、俺だって考えない訳では無いんだよ?なぁ~カイト?」

「え、なに、兄ちゃん?」


 子供は呑気で良いよなぁ~。

 と思う瞬間だよ……全く聞いてないってさ!

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