閑話 息子を追い出した母のその後 2

 たいして広くもない屋敷の中を、バタバタと下品に走り使用人を探し歩く。

 途中2人の子供達にも執事達を探すように言い付け探させた。

 親子三人で、使用人達の部屋にも乱暴に入るが、誰も居なかった。

 そして部屋の中はもぬけの空だった。


「は?何故なにもないのかしら?可笑しいわ!服も、靴もないなんて!」

「母上。料理人のガイの部屋も何もないよ?」

「お母様……こっちも何もないわ」

「まさか、そんな………三人とも居なくなるなんて……は、まさか!」


 ユイラがバタバタと走って、何処かに行くのを二人の子供が母に声を掛けるが、それを無視して何処かに走って行ってしまう。


「「お母様どこに行くのですか?」待って」


 そして、母ユイラはカレスの部屋に入る。


「カレス!貴方…………。って、居るわけは無いわね……」


 私が追い出したのだから……。


「カレスは、確か一人で出ていった筈よね……」


 なら、使用人達は自分達で勝手に出て行ったのね。


「困ったわ……夕食誰が作るのかしら?」


 ペタリとカレスの部屋に座り込み、カレスの母ユイラはクスクス笑いだした。


「おい!ユイラ。何処にいるユイラ!おい」


 喧しく自分を呼ぶ声に気が付くが……ユイラは、カレスの部屋から動かない。

 すると、廊下で騒がしくする父に気がついた子供達は、バタバタと走り父親に近づき声を掛ける。


「お父様、煩いです。どうしたのですか?」

「お前達の母を探してる。見なかったか」

「さぁ?何処かに走って、いって行きましたわ」

「チッ!仕方ねぇな、おい!お前らユイラを連れてこいよ、それと飯もだ!早くしろよ?」

「は、はい。お父様………。ですが使用人が誰も居ないのです」

「はぁ!なんで?」

「さぁ?出て行ったのかも?使用人達の荷物がありません」

「んだと、カレスはどうした!」

「さぁ?知らないよ。あんな人」

「母様が、知ってるよ!きっと」

「………そういえば……追い出した筈だな……」

「ええ、追い出したの?なら僕たちのご飯は?」

「あいつが、狩りに行くんでしょ?」

「そ、そうだな……」


 チッ稼げる人間追い出しやがって!

 ユイラ使えねぇ、それに……こいつらもいらねぇなぁ。

 面倒だ……。


自分の子供なのに愛情もないので冷たくあしらう。


「おい、お前ら俺は少し出掛ける。お前らは、部屋に戻れ」

「えっ、お母様を呼んで来るのでしょ?」

「いや、良いぞ俺がいくから。お前らは戻っていい」

「分かりました。おいレイリア部屋に行くぞ」

「……でも」

(いいから、お父様が怒る前にいくぞ!)


 妹の腕を掴んで部屋に戻る兄妹だった。


 そして……ユイラの夫マーンドは、自分の部屋に戻ると、鞄に荷物を詰め込み。

 リビングまで戻ると、そこに有る金目の物を持ち出した。

 それを荷物の中に詰め込むと屋敷を出る。


「チッ!女をたらしこんで、家に入ったが……とんだ外れを引いちまったぜ!長年我慢したが……そろそろ潮時か!さて、ここを出たら今度はどんな女を嵌めるかね……」


 と本人は言うが……、見た目めも指して良くもない中肉中背の身体で、金も持って居ない中年のオヤジに引っ掛かる女など……もう何処にも居ない。

 それに気付くのはいつの事やら……。

 そして、勘違い野郎の父親が屋敷から出て行った。


 残った親子三人……なんの、能力も持たない三人……。

 屋敷に有る金目物は殆んどマーンドが持ち去った。


 果たしてこの親子はこの先、生きて行けるのだろうか?


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