第18話 海の幸

 それから……。

 カイトと二人で冒険者ギルドに入ると、先に依頼ボードを覗いて見る。

 ふむ………依頼は多いね。それに……お!有ったぞ!


「兄ちゃん?なにしてる」

「え、依頼見てるんたけど?」

「何でさっ!もう依頼受けるの?」

「嫌、受けんよ?でもほら、これこと……これと、これなら依頼受けられる」


 といってカイトに依頼書を見せる。


「………あ、これ」

「な?」とカイトにウインクする。

「うへぇ……俺にそんなことするな!キモ」

「ひでぇ………カイト。てか、山巫戯てる場合ではないな、カウンター行くぞ」

「分かった」


 依頼書持って、カウンターに座るお姉さんの所に向かうけど。……ここもお嬢さん方の目が、ギラギラしてるのは気の所為かね?


三人娘さんですね。だけど……残念です。

一人は浅黒い肌のほっそりさん。

一人は眼の大きなぽっちゃりさん。

一人は……漠乳……だけど残念お姉さん。

 何処がって……俺に聞くなよ?!


 頭の良さそうなのは……真ん中の……嫌!あえて一番目の、ほっそりさんにレッツトライ!


 ………ある意味、失礼極まりないジュリである。

 が……本人の自覚は有る様だ。


「あの……?」

「はい!いらっしゃいませ。ご用は何でしょうか?」

「ええっと、この依頼書受けたいんだけど」


 そう言って5枚の依頼書を差し出す。


「は?こ、こんなに一度にですか?」

「ええ」とほっそりさんにニコリと笑う。

「う……。ぼ、冒険者カードは御持ちですか?それにこれは、Aランク以上の依頼書ですよ?失敗すれば違約金が発生しますよ?」

「……はい!カード。これでいいか」


 カウンターにギルドカードを置いて、ほっそりお姉さんに見せる。


「はぁ~では。拝見させて…………は!はぁーー!ええぇ!Aランク!」


 叫んでカウンターから身を乗り出して、迫ってくるので直ぐに後ろに下がる。その様子を見ていた二人の受付けのお姉さんが、慌てて身を乗り出して、お姉さんを支える。ナイス!


「ち、ちょっと、クレリア!なにしてんよの!危ないでしょ!」

「そうよ!あたしそんなに力無いんだから暴れないでよ。どうしたのこの人が、なにかしたの?」


 ぽっちゃりさんが、ほっそりさんを支えながら俺を睨む。


 ひ、酷でぇ……この、ぽっちゃり。何を俺がするんだ?教えてくれよ。俺はなにもしてないぞ!


「あ、ありがとう。マルタ、ミルマン。でも違うのよ!この人Aランクの冒険者なのよ!ギルマスを呼んできてよ」

「ええ!こんな田舎町にAランクの冒険者!あたしが、ギルマス呼んでくるわね。待ってて」

「そうしてよ!あたしこの人逃げないように、捕まえて……」


 そう言って手を伸ばし、俺の腕を掴もうとしてくるのでもう一歩カウンターから下がる。


「あの……逃げないので、触らないで下さい。それに俺は一人では無いので、触るのやめてくださいね」


 カイトの、肩を組んで受付女達に見せる。


「兄ちゃんやめろ!重い」

「あ、あら!お連れ様が居たのね?ごめんなさい。ええっと、ジュリさん。ここでお待ち下さいね?あ!カードは、お返ししますね」


 ニコリと微笑み掛けられた……怖い………。


「ど、どうも。ここで待てばいいの?」


 また面倒だ。カイトと話してる方が良いな?


(カイト?)

(なに兄ちゃん。また面倒なの?)

(当たりだと思うぞ。すまんな)

(……仕方ないよね?兄ちゃんって、規格外なんだもん)

(す、すまんな。そう言えばさっ、宿どうするか)

(どうするもなにも、初めて来る町なんだから知らないよ!ギルマスにでも聞いたら?)

(そうだな……そうするか?この町は港町だから魚が旨そうだ)

(魚?あ~前に兄ちゃんと川で釣りしたあの魚?)

(そうそうあれだけどな。……海の魚は川の魚とはまた違って旨いぞ!)

(そうなの?)

(おう、でも……料理によって違うから……気を付けたいがね)

(あ~ぁそれね……兄ちゃん宜しくな?僕、兄ちゃんの料理しか食えないから……)


 むぅ……贅沢に育ててしまった様だ。


 

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