第17話 港町アスガルド

 町に入る列に並んでいると思い出す。

 二年前カイトと前の町に入った事を、あれからカイトは大きくなったねぇ~。

 うん、実に親父臭いな俺!


「兄ちゃん……?」

「なんだよ」

「思い出した」

「何を」

「こうやって、並んでると二年前兄ちゃんに抱っこされて、町に入ったのをさっ。あれ思い出した」

「そ、そうか?懐かしいな?カイトは泣き虫だったからな。ハハハ」

「ん~それは、恥ずかしい」

「仕方ないだろ?お前めっちゃ、怖がってたんだからさっ」

「そうだけど……」

「なに?チビの頃の事が嫌なの?今でも十分チビだけど?」

「ひでぇ……。でも、馬車から落ちたの思い出した」

「そうか、痛かったな。お前、あちこち怪我してたしな。だけど……その前の事は?」

「なんとなく覚えてる。俺が寝てたら、誰かが突然俺の目の前に立っててさ。そいつが俺に袋を被せたんだ」


 やっぱり人身売買の口減らしか。


「そうか……」

「それで、ガタンって音がしたら僕が落ちたんだ。それから転がった記憶があるけど……。後は兄ちゃんに会って」


 そこは変わってねえのな。アハハ。


「分かった、分かったからもう良いぞ?ほら、もうすぐ門番にカード見せないとな。町に入る手続きしないと」

「わ、分かった」


 そして、俺達の順番が来たので門番に呼ばれて側に行く。


「ようこそ、アルガストの町へ。君達、身分証はあるかい?」

「ええ、これです。カイトお前も出せ」

「あ、はいこれです」

「ほう、冒険者かい?随分ランクが高いな。Aランクとは凄い!連れの子供は……Dランクか。子供なのに凄いな!」

「ええ、二人でコツコツランク上げて。頑張ったんですよ」

「そうか、兄弟ですごいね?はい、どうぞ中に入ってくれ。通行税は半額の、銀貨1枚と大銅貨5枚だ」

「そうですか。ならこれでお願いします」


 素直に言われた金額を門番に支払うと、門番がニコリと笑って通って良いぞといってくる。


「はい確かに」

「あ、門番さん」

「なんだい、坊や?」

「冒険者ギルドは何処ですか?」

「ギルドなら、ここを真っ直ぐに行けばあるぞ!」

「そうですか、ありがとございます」

「おう、兄ちゃんと頑張れよ?坊主」

「はい!ありがとうございます。お兄ちゃん行こう」

「お、おう」


 カイトと二人で門を抜けて町に入ると、門番に聞いた通りに言われた道を真っ直ぐ歩く。


「カイト、やったな?」

「なに?」

「レツを見られないようにしたろ?お前」

「だって騒がれても困る。どうせギルドで騒がれるんだから、面倒は一回でいいよ」

「ま、そうなんだが……申告しなかったからなぁ……問題にならないと良いがね?」

「その時は任せた!兄ちゃん口が上手いからね」

「なんだそれは?」

「だって、毎回何かあると煙りに巻くじゃんか」

「お前、何処でそんな言葉覚えたの?」

「え?前のギルマスに教えて貰った」


 あいつ!碌な事を教えねぇ~。

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