第13話 名付け

「カイト!」

「なに?」

「こいつの、名前考えてるか?」

「名前?」

「そう名前だ!」

「………んと……名前……」


 なんだ、名前考えてなかったの?

 そういうのは、考えておけよ……。

 あ!考えさせなかったのは俺だったね。

 反省……。


「なんだ決まってないか?」


 俺、白々しいなぁ……。


「うん。あ……っ!そうだその子雌?雄どっち」

「さぁな、分からんよ。お前が世話してたんだろ?」


 それだけ言ってサーベルタイガーの、子供の鼻先に指をそっと出す。

 すると、俺の指の匂いを嗅いでから暫くそのまま指を出していたら、サーベルタイガーの子供が俺の指をペロッと舐めた。


「お、舐めた。お前可愛いな?ん」


 かわいいと言って首をなでる。


「狡い……」

「なに?名前決まったの?」

「まだ!その子どっち?」

「少し待てよ?おい、お前抱っこしていいか。ん?」


 それだけ言うと、ぴょんとジュリの膝に乗ってくる。


「おお、可愛いな。お前はどっちだ?」


 抱き上げて性別を確認すると、どうやら雄の様だ。


「カイト、この子雄だ!」

「………そう。ならパルマは?」

「雄だぞ?」

「なら……レツは?」

「ま、良いんじゃねぇの?ならテイムするぞ?良いか?」 

「うん」

「なら……」


 そっとサーベルタイガーの頭をそっと撫でて話し掛ける。


「おい……。お前おらと一緒に来るか?」

「にゃ~?」

「……ま、いいか?お前は今日からレツだ!」

「んにゃ~!」


 と一鳴きして俺に抱きついてくる。


「兄ちゃん……!狡い、僕も」

「ん?狡いと言われても……お前頑張るんだろ?」

「そうだけど……触りたいし」


 そうか……まぁ、スパルタ過ぎても可愛そうだよな?


「おい、レツ」

「にゃ!」


 レツを抱き上げると、カイトを見せるように顔向けてレツに話し掛ける。


「レツ。お前を助けたのはな、このカイトだぞ?それに感謝もしないで、嫌うのは駄目だろ。せめて、感謝して触るくらいは許してやれよ。ん?」

「に~ゃ……」


レツを抱いたままカイトに近付ると、レツの前足がカイトの頬をポンポンと軽く叩く。


「に、兄ちゃんこれはなに?」

「さぁ?試しに手を出して抱いてみ?」

「ひ、引っ掻かれないかな?」

「さぁ?怪我したら治してやるから、抱いてみりゃ良いじゃんかよ?」

「じ、じゃ……。レツ触らせてね……」


カイトが、そっとレツに手をだす。


「にゃ……………」


レツがカイトの指をスンスンと匂いを嗅ぐ。

そしておとなしく、カイトに触らせてやるよ!

といわんばかりに抱っこされる。

 なんだろう……若干偉そうに見えなくもないのは?

「に、兄ちゃん。ボク抱っこ出来た!」

「おし!それならここを出るぞ」

「うん、わかった。手伝う」


おお、やけに明るいね。

そりゃ嬉しいか……。

さて継ぎは何処に行こうかね……。

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