第11話 森を抜け出そう!

 鏡を出して、子供に自分が変わったのを見せる。


「………う、うわぁ!誰これ?」

「君だよ?ハハハ!自分を見たのははじめてかい?」

「………うん」

 

 さて、用意が出来たね?ならここから離れるか。この子を探しにこられて、見付かってもトラブルに成る。


「ねえ?君?」

「………」

「名前無いんだっけ?」

「うん……」

「俺が名前付けてもいいか?君!だと呼びにくいからさ?」

「………?」


 不思議そうに、キョトンとしたまま動かない。うぅん~なんとも……。


「なら……そうだね?君は今日から……カイトってどうだ?」

「カイト?」

「そう!カイトだ!」

「ボク、カイト?」

「そう!だよ、カイト」


 カイト?カイト………?と、ぶつぶつと自分の名前を覚えるように呟く。


「気に入ったか?カイト」

「うん!お兄ちゃん!ボク、カイト」

「あ、俺はジュリって言うんだ」

「お兄ちゃんの名前?」

「そう、ジュリ」

「ジュリ兄ちゃん?」

「そう、ならカイトは、今日から俺の弟だ!カイト!」

「うん!ジュリ兄ちゃん!」


 ニコリと笑う。ほっ!やっと笑ったよ……。


「ならここから動くぞ!」

「うん」

「なら、俺に捕まれ!ほら?」


 すごすごと、俺に近寄って来るのでがっちりと抱き寄せて上に飛び上がる。


「カイト目を瞑ってろよ?」

「うん」


 カイトは目をギュッと力一杯瞑る。

 そんなに力を、居れなくても良いが……?


「なら、フライ!」


 ふわりと空に飛び上がる。


「ほらカイト!目を開けてご覧?」


 瞑った目をカイトはゆっくりと開ける。


「うわぁ~凄い!ジュリ兄ちゃん!飛んでるの?」

「そう、飛んでるのだ!ハハハ!凄いだろ?怖くないか?」

「うん!すご~い」

「ならいくか?」

「うん!」


 さて、どこに行こうかな?

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